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不正改造は犯罪です!「不正改造車を排除する運動」

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国土交通省と不正改造防止推進協議会は、関係省庁や自動車関係団体等の協力を得て、道路交通の安全確保、公害防止を図るための対策として「不正改造車を排除する運動」を全国的に展開しています。

不正改造撲滅ポスター2不正改造撲滅ポスター3

 

毎年6月1日(水)~30日(木)までの1か月間を強化月間として「不正改造車を排除する運動」が全国的に展開されています。

バイクラブフォーラムでは、不法改造の撲滅を二輪車の社会との共生実現の課題として取り組んでいます。

不法改造車を排除する運動での活動事例

不正改造撲滅運動店内1不正改造撲滅運動店内2不正改造撲滅運動店内3不正改造撲滅運動店内4

店頭や社内での不正改造排除ポスターの掲示


Bike Love Forum in 兵庫・神戸 トークショープログラム

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「バイクで広がる人・社会」をテーマに、「第4回 BIKE LOVE FORUM(BLF)in兵庫・神戸」を9月17日(土)神戸ハーバーランドにて開催します。
MCにタレントのちぱるさんをむかえ、第1部「防災とバイク」第2部「バイクと文化」第3部「ファッション」のトークショーを行います。

BIKE LOVE FORUM in 兵庫・神戸 プログラムBLFin兵庫・神戸MCちぱるさん

13:30 第1部 防災とバイク
災害時におけるバイクならではの活動を紹介
[登壇者]
・関根太郎 日本大学理工学部教授 ※ファシリテーター
・ちぱる  タレント ※MC
・安本治之 静岡市オフロードバイク隊
・林 孝  上田市消防団 副バイク隊長
・武井元博 上田市消防団 副バイク隊長
・片山敬済 (一社)BERT International代表
・前林清和 神戸学院大学現代社会学部教授
・田中秀穂 熊本県山都町役場
<トーク内容>
災害時におけるバイク隊の有益な活動について、阪神淡路大震災の経験や熊本地震の復興支援、また社会防災学的な考え方などから多角的に検証、検討します。

15:00 第2部 バイクと文化
アニメ『ばくおん!!』のヒットから今を学ぶ
[登壇者]
・明治拓生 株式会社秋田書店
・岸田拓磨 株式会社トムス・エンタテインメント
・髙橋和彰 NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン合同会社
<トーク内容>
人気コミックからTVアニメ化された「ばくおん!!」。アニメ製作委員会のメンバー3名がTVアニメの製作を通して見えてきた視聴者像やコミック、バイク業界についてトークを繰り広げます。

16:00 第3部 ファッション
スニーカーとバイクファッション
(ファシリテーター:ちぱる)
[登壇者]
・ちぱる   タレント ※ファシリテーター兼MC
・山田勝之  株式会社アシックス
・嘉山琴子  株式会社デグナー
・栗栖慎太郎 株式会社アールエスタイチ
・鷲澤 亨  株式会社クシタニ
<トーク内容>
70年代、80年代、90年代と各年代を代表するスニーカーやバイクファッションを振り返り「近未来はどうなるか」「これからのワクワクって何か?」についてトークを展開します。

BLFin兵庫・神戸ポスター・チラシ

BLF×KFW 神戸ファッションウィークコラボレーション

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第4回 BIKE LOVE FORUM in 兵庫・神戸は、9月17日(土)に神戸ハーバーランドスペースシアター(神戸市中央区)で「神戸ファッションウィーク」とのコラボレーションで開催されます。
「神戸ファッションウィーク 2016 AUTUMN/WINTER」のガイドブックでは、公式キャラクターの「コーベアー」が「モコベアー」とバイクにタンデム(二人乗り)して神戸の街を颯爽と駆け抜けています。

神戸ファッションウィーク:http://kobedays.com/event/kfw

BLF開催リリース:http://www.bikeloveforum.jp/2016/08/09/710/
BLFプログラム概要:http://www.bikeloveforum.jp/2016/08/24/745/

防災とバイク:2016年バイクラブフォーラムin兵庫神戸トークショー

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2016年9月17日(土)に開催されたバイクラブフォーラム(BLF)in兵庫神戸トークショー「防災とバイク」の様子

[登壇者]
・関根太郎 日本大学理工学部教授 ※ファシリテーター
・ちぱる  タレント ※MC
・安本治之 静岡市オフロードバイク隊
・林 孝  上田市消防団 副バイク隊長
・武井元博 上田市消防団 副バイク隊長
・片山敬済 (一社)BERT International代表
・前林清和 神戸学院大学現代社会学部教授
・田中秀穂 熊本県山都町役場
<トーク内容>
災害時におけるバイク隊の有益な活動について、阪神淡路大震災の経験や熊本地震の復興支援、また社会防災学的な考え方などから多角的に検証、検討します。

スニーカーとバイクファッション:2016年バイクラブフォーラムin兵庫神戸トークショー 

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2016年9月17日(土)に開催されたバイクラブフォーラム(BLF)in兵庫神戸のトークショー「ファッション」の様子

[登壇者]
・ちぱる   タレント ※ファシリテーター兼MC
・山田勝之  株式会社アシックス
・嘉山琴子  株式会社デグナー
・栗栖慎太郎 株式会社アールエスタイチ
・鷲澤 亨  株式会社クシタニ
<トーク内容>
70年代、80年代、90年代と各年代を代表するスニーカーやバイクファッションを振り返り「近未来はどうなるか」「これからのワクワクって何か?」についてトークを展開します。

BLF×KFW 神戸ファッションウィークコラボレーションフォトスナップ

規制解除のケースも出てきた! 二輪車通行禁止の現場から(西日本編)

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●二輪車の通行が禁止されている道路が全国に数多くあります。

●最近では規制が解除されるケースも出てきました。

●規制解除が広がるには、ライダーのマナーアップが肝心。

※この記事は2016年6月に発表されたものを元にしています。

ライダーから届いた意見が1,000件超

一般社団法人日本二輪車普及安全協会は、全国の二輪車通行規制区間に関する情報をデータ化し、同協会のWebサイトに公開しています。そこにアクセスすれば、知りたい地域ごとに規制の場所と実施時間、対象車両などの情報を確認することができます。また、ライダーが普段気になっている規制区間を選んで、その規制にまつわる実体験や要望などの意見を同協会に送信できる仕組みになっています。1年間で1,000件近い意見が届きます。その内容は、規制による不便や疑問を訴えるものがほとんど。

日本二普協の「二輪車通行規制区間情報」サイト

日本二普協の「二輪車通行規制区間情報」サイト

日本二普協は、「このサイトの目的は、バイクでは通行できない路線が各地にあることを知ってもらい、違反を犯さないようにしてもらおうというのが第一。また、ライダーから意見をもらって、私たちがその声を都道府県警察に届け、規制状況を点検する際の参考にしてもらおうと考えています」と話しています。

福岡市中央区・博多エリアの規制解除

「二輪車通行規制区間情報」で福岡県を調べると、福岡市内には非常にたくさんの規制区間が表示されています。その多くは国道202号と同385号に接続する枝道に設けられたもので、実質的にはその2つの国道の通行規制が、同市内の二輪車規制の主軸になっています。また、これらの規制は「総排気量250cc以下を除く 日曜・休日0:00~6:00」という内容です。夜間に走り回る暴走族対策であることが推測されますが、善良な一般ライダーももちろん規制の対象です。

福岡市内の二輪車通行規制区間

福岡市内の二輪車通行規制区間

国道202号の規制区間にあるバイクショップの店長は、「騒音を上げて走るライダーはごくごくわずか。その実態に合わせて規制方法や取り締まり方法を考える必要があると感じます。ルールを守っている善良なライダーほど不利益を被っているのが実情です」と話します。規制を避けて走行しているうちに、道に迷ってしまうライダーも多いはず。夜間ならばなおさらのことでしょう。
しかし、朗報もあります。これら国道202号と同385号のうち、福岡市中央区全域と博多区にかかる深夜の二輪車通行止めが、2015年3月末日をもって解除されたのです。市の中心部へ夜間のバイク通勤をしている人たちにとって、規制解除は嬉しいものになりました。残されている規制についても、点検・見直しが進むよう、今後の動向に注目したいものです。

125ccの通行も認めてほしい――大阪・湾岸エリア

大阪府は、西日本で最も二輪車通行規制が多い地域です。とくに大阪市内には、アンダーパスやオーバーパスなどの立体交差、川を渡る大橋やトンネルが数多く点在しており、原付を通行禁止にしているケースが多くあります。また自動二輪車については、暴走族対策と思われる時間規制の通行止めがいくつかの区間で実施されています。

咲洲トンネルの入口に立つ規制看板

咲洲トンネルの入口に立つ規制看板

府内の二輪車業界関係者は、「ライダーからの要望が多いのは、原付よりも自動二輪車に対する規制で、大阪市内であれば難波と心斎橋を結ぶ国道25号の夜間通行止めや、大阪城に近い大阪ビジネスパークの通行止めを見直してほしいというもの。ほかにも、湾岸地区の咲洲トンネルと夢洲トンネルが125cc以下の自動二輪車を通行止めにしており、それを解除してほしいという要望も多いようです」と話します。
そこでまず、咲洲トンネルと夢洲トンネルにクルマで行ってみましたが、どちらのトンネルも、125ccクラスのバイクならクルマの流れに乗って走ることができ、走行上の不安はなさそうです。もしこの規制が解除されれば、多くの125ccユーザーの利便性が向上するのは間違いありません。コスモスクエアで営まれる商業施設への客足も増え、経済効果も期待できそうです。
次に国道25号も走ってみました。この国道は、大阪市の中心部を南北に走る目抜き通りの一つ。難波交差点から心斎橋(新橋交差点)までの約1km区間は、日曜・休日の深夜0時から朝6時まで自動二輪車の通行が禁止されています。夜遅くまで働く人たちにとっては、バイクが利用しづらい規制です。

大阪市の目抜き通り国道25号 休日の深夜は自動二輪車通行止め

大阪市の目抜き通り国道25号
休日の深夜は自動二輪車通行止め

ライダーからの解除要望が多い大阪ビジネスパークもクルマで走ってみました。ここは大阪城の北東にある再開発区域で、オフィスビルや大型商業施設が立ち並ぶエリアです。現場を見る限り、二輪車を規制すべき理由はまったく思い浮かびません。そうしたところ、2016年2月に、同エリアの規制が一部解除されたとのことです。こうして少しずつでも見直しが行われているのは、ライダーにとって喜ばしいことと言えそうです。

京都市にみる二輪車通行規制の例

ライダーからの見直し要望が多い規制区間は京都地区にもあります。国道1号のバイパスの一部と、同9号のトンネル部分の二輪車通行止めで、その区間はライダーを側道へと迂回させる規制になっています。国道1号のオーバーパスをクルマで通行してみると、確かにカーブが連続するために運転には注意が必要ですが、同じような形状の道路は全国各地にあり、ことさらこの区間だけ二輪車を通行禁止にしている理由はわかりません。
ライダーの声をきくと、「通行禁止の手前が車線変更禁止なので、規制に気づいたときは車線変更が間に合わず、慌ててしまって危なかった」とか、「迂回した先の合流点や交差点を通過するほうが危険」といった意見もあり、規制は逆効果ではないかといった指摘も出ています。国道9号の地下道をクルマで走行してみましたが、二輪車の通行に何か問題があるとは思えませんでした。

右車線は二輪車禁止のオーバーパス

右車線は二輪車禁止のオーバーパス

最後にもう1例。京都で有名な清水寺の東側を走る渋谷蹴上線は、国道1号の東山淨苑前から花鳥橋北詰へとつながる峠越えの山道。原付も自動二輪車も、平日は朝9時~翌朝7時までが通行止めで、土曜・日曜・休日は終日の通行止めとなっています。この規制はおそらく、30~40年前に多発したローリング族を排除するために導入されたもの。
府内の二輪業界関係者は、「かつてのようなローリング族はいなくなっていますが、バイクに対する社会の目は、まだまだ厳しさが残っていると思います。私たちとしては、規制解除を警察にお願いするのと同時に、ライダーのマナーをもっともっと向上させて、バイクに対する社会的な理解をさらに広げていかなければならないと考えています」と話しています。
徐々に出てきた二輪車通行規制の見直しの動きがいっそう広まるよう、引き続きこの問題には関心を向けていきたいものです。

JAMA「Motorcycle Information」2016年6月号特集より
本内容をPDFでもご確認いただけます。
規制解除のケースも出てきた!二輪車通行禁止の現場から(西日本編)

価値ある話題がいっぱい 躍動する全日本レディース・ライダー

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●いまモーターサイクルスポーツ界では、ホットな女性の話題がたくさん。

●ロードレース、モトクロス、トライアルのカテゴリーごとに、活躍中の女性ライダーに話を聞きました。

●目標に向かってひたむきな彼女たち。今シーズンの活躍から目が離せません。

※この記事は2016年8月に発表されたものを元にしています。

ロードレースで世界を目指す――岡崎静夏

おしゃれな街が似合ういまどきの女性。それが岡崎静夏(おかざき・しずか)さん(24歳)の第一印象。しかし、彼女がレーシングマシンにまたがると、男性ライダーを相手に熾烈なバトルを繰り広げるファイターに一変。全日本ロードレース選手権J-GP3クラスを走る注目の選手なのです。J-GP3は、排気量250ccのレース専用マシンで行われるスプリントレースで、世界選手権のMoto3レースにも直結します。

岡崎静夏さん

岡崎静夏さん

「今シーズンはなんとか5位以内で終わらせたいですね。来シーズンは絶対に勝ちを挙げて、ランキング1位を目指します。そしてMoto3に挑戦したい」とキッパリ。もし岡崎さんがMoto3へとエントリーできれば、日本人女性としては二十数年ぶりの世界挑戦となります。しかも、狙うのはあくまで“王座”。「レースを志す以上、当然の目標だと思っています」と、強気の姿勢を見せます。
岡崎さんは、2012年からJ-GP3に出場していますが、頭角を現したのはここ1、2年のこと。

J-GP3で疾走する岡崎さん

J-GP3で疾走する岡崎さん

「これまでレースに勝つには、気合しかないと思っていました。絶対負けたくないという意地だけで、人一倍長く乗る(練習する)ことしか考えませんでした」と岡崎さん。しかしあるとき、先輩ライダーのマシンを借りて乗る機会があり、その走りやすさに驚いたそうです。
「自分にあった乗りやすいマシンにセッティングすることが重要だとわかって、最近はそこに時間をかけています。勝つためには何が大事か、しっかり考えられるようになってきたんだと思います」
ライダーとしての能力を一気に開花させ、見違えるように走りにキレ味が出てきた岡崎さん。観客を魅了する巧みなライディングで、ぜひ世界へと羽ばたいてほしいものです。

モトクロス世界選手権へ本格参戦――畑尾樹璃

畑尾樹璃(はたお・じゅり)さん(20歳)は、来シーズン、モトクロス世界選手権のウィメンズクラスへの出場を目指しています。同選手権への本格的な参戦がかなえば、日本人女性として初めてのこととなります。きっかけになったのは、2015年3月にタイで開催された世界選手権・ウィメンズクラスに参加したこと。畑尾さんは、第1ヒートが17位で、第2ヒートはなんとか9位に食い込みましたが、大きなレベルの差を味わいました。

畑尾樹璃さん

畑尾樹璃さん

普段の力を発揮すれば勝機はある

普段の力を発揮すれば勝機はある

「ヨーロッパのトップライダーは圧倒的に速かった。あのレベルに追いついて、本気で勝ちたいという気持ちになりました」
今シーズンの全日本選手権で、畑尾さんはレディースクラスのほかに国際B級(IBクラス)にも出場し、男性ライダーのなかで奮闘しています。
モトクロスは1回のヒートが30分程度ですが、ライダーの疲労は、「マラソンをしたあとに腕立て伏せをやらされるような辛さ」だといいます。IBクラスに挑むことで、筋力、持久力など、畑尾さんは基礎体力が伸びてきたと実感しています。そして、来シーズンに向けた小手調べとして、8月28日にオランダで開かれる世界選手権・ウィメンズクラスの最終戦にスポット出場する予定とのこと。日本のモトクロスのレディース・ライダーとして、畑尾さんの真価が問われるのはこれからです。

もっとレディース・トライアルを広めたい――小玉絵里加

全日本トライアル選手権に、2016年から「レディースクラス」が新設されました。現在、同クラスでランキング2位の小玉絵里加(こだま・えりか)さんは、レディースクラスの開設を強く訴えてきた一人です。小玉さんは2013年と2014年の2回、国別対抗で行われる「トライアル・デナシオン」のレディースクラスに、日本代表チームの一員として出場。世界の女性ライダーと一緒に走る経験を持つことができました。

全日本レディースクラス誕生 写真提供Rising-D"Yusuke Origuchi"

全日本レディースクラス誕生
写真提供Rising-D”Yusuke Origuchi”

ヨーロッパ選手の力量をまざまざと見せつけられた小玉さんは、関係方面に「もっと女性同士で競技をやって、技を磨き合える場がほしい」と訴えました。女性のトライアルを発展させるための足場が必要だと感じたのです。
実現には3年かかりましたが、全日本トライアルに念願の「レディースクラス」が誕生しました。小玉さんはレディース選手会の代表も引き受け、積極的に働いています。

現在ランキング2位の児玉さん 写真提供Rising-D"Yusuke Origuchi"

現在ランキング2位の児玉さん
写真提供Rising-D”Yusuke Origuchi”

小玉さんは、「これからレディースクラスが活性化されれば、地方で頑張っている女性ライダーも挑戦してきてくれると思うし、競技人口の拡大にもつながると思います。トライアルの知名度をもっと高めたい」とのこと。レディーストライアルの今後が、非常に楽しみです。

FIM女性委員会に初の日本人就任――森脇緑

女性の活躍はライダーばかりではありません。国際モーターサイクリズム連盟(FIM)は、MotoGPなどのモーターサイクルスポーツを世界的に統括している機関ですが、そのなかに、女性ライダーの競技環境の改善を図る「女性委員会」が設けられています。この委員会が設立されて今年でちょうど10年になりますが、2015年6月に日本人で初めて、森脇 緑(もりわき・みどり)さんが委員に就任しました。

FIM女性委員に就任した森脇さん

FIM女性委員に就任した森脇さん

森脇さんは、「自分に何かできることがあるのかしばらく考えましたが、日本人の委員として、日本はもちろんアジアの女性ライダーの環境改善や育成も含めてFIMで発言していきたいと考えています」と話します。
また、女性ライダーのための具体的なサポートについて尋ねると、「レースは、勝つか負けるかの厳しい世界です。人間として成長しないと強くなれません。そうなろうとして頑張っている女性たちを私はとてもリスペクトしています。どんなときでも一緒に歩み、何か相談されたときには、全力で応援したいと思います」と、森脇さんは決意を述べています。
これからの日本のバイクシーンを盛り上げるために、女性ライダーがいっそう輝くような環境づくりに期待したいものです。

JAMA「Motorcycle Information」2016年8月号特集より
本内容をPDFでもご確認いただけます。
価値ある話題がいっぱい


さまざまな緊急事態に役立つ 消防バイクの頼もしい力

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●緊急事態における消防バイクの有用性が注目されています。

●災害現場に駆けつけ、情報収集を行うのが第一の任務です。

●消防バイクの機動力は、一刻を争う災害現場で役立っています。

※この記事は2013年3月現在の内容です。

消防バイクの活用状況を調査——総務省消防庁

2012年、総務省消防庁では、全国の消防本部を対象に「消防活動用バイクの活用状況等の調査」を行い、6月に調査結果を公表しました。これによると、赤色灯とサイレンを備えて緊急走行のできる消防バイクを保有している消防本部は、東京消防庁、京都市消防局、浜松市消防局、熊本市消防局など58本部で、車両数は合計183台でした。

注目される消防バイク(京都市消防局提供)

注目される消防バイク(京都市消防局提供)

また、運用方針や活動要領を定めている消防本部が29あり、総じてバイクの利点を活かして早期に現場到着できる場合に出動し、災害への初期対応、情報収集、本隊支援を行うというのが基本になっているようです。
大地震など大規模災害への危機管理は、国や地域の重要課題です。消防庁の調査でも、大規模災害時に消防バイクをどのように使うか尋ねており、これに対する回答は、「情報収集」36、「広報・避難誘導」6、「消火活動」3、「捜索」「警戒」「救助」「他都市からの応援隊の先導」各1、「状況により判断」19といった結果となっていました。

バイクを活用するメリットは明らか

では、これまで消防バイクを運用してきている各消防本部では、そのメリットをどう捉えているのでしょうか。消防庁の調査結果では、「大型車両や救急車等が進入できない狭い道路や場所(山岳)に進入できるため、迅速に各種活動が可能であること、また、車両渋滞時に先行して現場到着して活動ができる」と利点をまとめ、ほとんどの本部が、バイクのもつ機動性、迅速性による活動効率のよさを評価していることがわかりました。
消防バイクを活用した奏功事例としては、災害現場での情報収集に役立ったほか、山岳・山林での行方不明者の捜索、山林火災の消火などが挙がっており、事態解決につながる活躍もみせています。
消防庁では、「消防バイクの運用は、安全確保などの面から留意すべき点もありますが、今回の調査結果からは、災害状況に応じて効果的に運用されています。今後、バイクの導入や活用を検討する際の参考にしてほしい」としています。

首都高速の事故などに出動——東京消防庁

消防バイクが実際どのように活用されているか、いくつかケースをみてみましょう。
わが国の首都を守る東京消防庁には、通称「クイックアタッカー」と呼ばれる消防バイク隊が都内10署に配置され、各署で2台ずつ運用されています。

クイックアタッカーの隊員

クイックアタッカーの隊員

クイックアタッカーが初めて配備されたのは1997年12月のことで、阪神・淡路大震災を教訓に導入されました。2台1組で出動し、火災や事故の現状把握を行い、後続隊に情報を伝えることを主な任務としています。
向島消防署のYさんとKさんは、2人ともクイックアタッカーに憧れて志願しました。例えば同消防署に近い首都高6号線上で交通事故が発生すると、クイックアタッカーの出番になります。平均して月に1~2回はバイクでの出動事案が発生しているといいます。
Yさんは、「高速道路で事故が発生すると、交通渋滞が起きますが、バイクは渋滞の隙間を抜けていち早く現場に着くことができます。首都高では、これまで車両火災の消火を行ったり、急病で運転できなくなった高齢ドライバーを救助したことなどがあります。」と話します。負傷者のなかには一刻を争うケースもあり、クイックアタッカーによる現場対応は、人命救助に大きく役立ちます。
またKさんは、「現場に一番乗りするわけですから、事故や火災の場所を後続隊に正確に伝えたり、逃げ遅れを確認して必要ならば増車を要請したり、消防のプロとしての判断が問われます。責任は重いわけですが、やり甲斐を感じています」と話し、任務に対して誇りを抱いている様子だ。

災害現場の状況を克明に伝える——京都市消防局

京都市消防局では、2012年6月に初めて3台の消防バイク(通称:KYOTO REDWING)を導入し、7月9日から運用しています。この消防バイクは、情報収集能力の強化を図ることが主な目的であるため、消防バイクが出動する際は、映像伝送システムを携行しています。隊員がスマートフォンで災害現場を動画撮影し、本部にライブ映像を送ることができます。本部では、バイクから送られてきた映像をスクリーンに映し出し、被害状況に応じて適切な対策を講じるという仕組みです。

京都市消防局のバイク隊

京都市消防局のバイク隊

バイク隊が発足して1カ月目、京都市は集中豪雨に見舞われ、市内には浸水で孤立する地域が出ました。これによりバイク隊が初出動となり、被災地域を巡回し、現場の様子を本部に中継しました。
同消防局では、「ヘリコプターなど上空からの映像に加え、バイクで行けば人の目線で被害の状況を把握できるため、災害対策に有効な判断材料を集めることが可能です。現場に到着する時間も早く、バイク隊の役割は大きかったと思います」と話しています。

遭難者の捜索に威力発揮——上田市消防団

日本の消防組織には、民間人が運営する地域の消防団があります。多くの消防団の場合、消防ポンプ車なども独自に保有しており、なかには緊急指定を受けた消防バイクを運用している団もあります。

消防バイクをいち早く導入した上田市消防団

消防バイクをいち早く導入した上田市消防団

長野県の上田市消防団は、早い時期から消防バイクを導入した“さきがけ”の組織です。バイク隊が発足したきっかけは、1994年に市内で発生したオイルターミナルの火災で、狭い道路が大渋滞したなか、当時の消防団員が「バイクなら動ける」と、個人所有のバイク約20台で現場に駆けつけ、延焼を食い止める活動を行ったことでした。バイク隊の正式な旗揚げは1996年1月で、消防団員のうち、バイクの運転に心得のある150人が隊員として組織されました。当時はすべて隊員所有のバイクで活動するというバイク隊でしたが、現在同消防団では、緊急車両の消防バイク6台と、調査用車両として通常のバイク4台を保有しています。バイク隊員には229人が登録されているそうです。
上田市では、バイク隊が出動する緊急事態は月に1~2回起きるといいます。山菜シーズンなどに山で行方がわからなくなった人や、認知症の高齢者、迷子などの捜索活動に出動するケースが多いといいます。「地域が広いのと、徒歩でしか通れないような険しい道を捜索しますから、バイクの力が発揮されます」とのことです。

極限の事態でもバイクは大いに役立つ——気仙沼市消防団

2011年3月11日、大地震と大津波、さらに市街地が炎上するという未曾有の大災害に襲われた宮城県気仙沼市。同市消防団(団員数830人)にもバイク隊があり、緊急車両である消防バイクが3台と、通常活動に使うバイクが3台配備されています。大規模災害時にバイク隊はどのような活動を行ったのか、同バイク隊の隊長に振り返ってもらいました。

走行訓練を行う気仙沼市消防団バイク隊

走行訓練を行う気仙沼市消防団バイク隊

バイク隊長はこの日、大津波警報が発令されたため、職場から消防バイクの保管場所に向かい、“避難広報”といって、市民に危険を呼びかけて避難を促す活動に1人で取りかかっていました。
その夜、隊長は大規模火災が発生した地区で消火活動に加わり、翌日は、バイク隊の指揮をとりました。10人いるバイク隊員は全員無事だったので、活動できる隊員は、住民の消息が途絶えた地区に赴いて、被害状況と安否確認をすることになりました。がれきでクルマが通行不能となった道を走り、人一人通るのがやっとの狭い山道をかき分け、海沿いの集落を見て回りました。ある地区では全滅を免れた3軒の家が残っており、1軒に30人以上の人たちが身を寄せ合っていたそうです。赤いバイクが来たのを見て、「よかった!助けに来てくれた!」とみなうれし泣きしたといいます。
発災から3日目ごろからは、停電の影響で消防無線も使えなくなり、消防団本部と各分団を往復して情報連絡を取ることがバイク隊の役目になりました。必要物資の情報収集などを行うなかで、孤立した地区に1日も薬を欠かせないという子供がいることがわかり、必要な医薬品を届けることができました。これもバイクがあったからこそできたことでした。
バイク隊長は、「まさかの災害時に、バイクは本当に役に立ちます。ほかの自治体でもぜひ消防バイクを導入しておくべきです」と、訴えています。

JAMA「Motorcycle Information」2013年3月号特集より
本内容をPDFでもご確認いただけます。
活躍する消防バイク

胸部プロテクター着用推進動画

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ライダーを対象に胸部プロテクターの装着率を調査したところ、7.2%と低く伸び悩んでいます。

二輪車の死亡事故における損傷主部位は頭部に次いで胸部となっており、胸部プロテクターの装着率の向上及び普及推進を目的とした動画になっています。
不意のアクシデントは移動距離に関係なく発生するため、積極的に安全装備を選んで欲しいと思います。

見習い記者が見た“鈴鹿8耐”「こんなレースをやってる日本はスゴイ!」

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●“バイクファンの祭典”として知られる8耐も今年で39年目。
●8耐の“いま”をどう感じるか、“見習い記者”がサーキットを初取材。
●レースの迫力、ファンブースの楽しさを実感した。

※この記事は2016年9月に発表した当時の内容で掲載しています。

驚愕! これはハマってしまうやつだ

2016年7月31日、鈴鹿8耐(2016 FIM世界耐久選手権シリーズ第3戦“コカ・コーラ ゼロ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第39回大会)の決勝日、私(大学1年生)はメインスタンドの最前列にいた。目の前には68台の出場マシンが並ぶ。レース開始の午前11時30分が迫ると、観客全体がテン・カウントダウンを始めた。……3、2、1、GO!!!!! 絶叫するアナウンサー、客席では「行けーっ!」と拳を突き上げる男性、「きゃーっ!」と両手を握り締める女性。怒涛のようなエキゾーストノートが響きわたり、バイクの群れはあっという間に1コーナーへと消えていった。スタンドの興奮が冷める間もなく、周回したトップグループが帰って来る。「ハァーーーーーン」という音が近づいてきたかと思うと、弾丸のような速さのバイクが、ヒュン、ヒュン、ヒュンと、目の前を一瞬で通り過ぎていく。初めて目の当たりにするレーシングマシンの音とスピードに、思わず「スッゲー」と声が漏れた。バーチャル世代ド真ん中の私は、リアルなレースの迫力に一発でやられた。これはハマってしまうやつだ…。

スタートの瞬間を待つ観客

スタートの瞬間を待つ観客

 

2016 鈴鹿8耐のスタート

2016 鈴鹿8耐のスタート

 

“ガチのバイク好き”が集まってくる

“怪物イベント”といわれる8耐。今年は決勝日だけで6万9,000人が来場し、会期中の4日間で合計12万4,000人を集めた。メインスタンドの手前にあるイベント広場は、朝早くから大勢の人で賑わっていた。意外にも私と同じ世代のグループが多い。

朝から賑わうイベント広場

朝から賑わうイベント広場

大阪から来ていた8人組の1人は、「去年初めて見に来て、レースの独特な雰囲気が楽しかったので、今年は仲間を誘って来ました」という。仲間の女性は、「私は今回初めて。暑いのに大勢の人がいてびっくり。お祭りみたいでワクワクします」と、満面の笑顔だった。

若者のグループが目立っていた

若者のグループが目立っていた

来場している若者の多くは、いまどきの言葉でいえば「ガチ(本気)のバイク好き」という感じ。好きなメーカーやチームの応援がいちばんの楽しみという人が多い。仲間とイベントブースを回って、夏休みならではの“お祭り感”が魅力になっているようだ。

新しい発見が楽しい4社ファンブース

「GPスクエア」では、カワサキ、スズキ、ホンダ、ヤマハのファンブース、二輪車関連企業のPRブースなどが多数出展。ライダーのトークショーやキャンギャルステージ、ゲーム、抽選会、物販コーナーなどさまざまな企画が行われ、来場者を楽しませていた。

■ファンブースで特別ミーティングイベント――カワサキ
カワサキは、8耐に「チームグリーン」を復活させて3年目。ファンブース「“KAZE”フィールド」では、人気の「カワサキコーヒーブレークミーティング」を特別開催するなど、ファンの仲間意識が高まる企画を実施。ライムグリーンのウチワやフラッグを手にしたファンが大勢集まってきていた。小さな子供を連れたお父さんが、マシンに子供をまたがらせて楽しそうに記念撮影をしているのが微笑ましかった。

小さい子の記憶にも残りそうだ

小さい子の記憶にも残りそうだ

■FIM世界耐久選手権の栄光を紹介――スズキ
スズキはFIM世界耐久選手権で、最多(14回)のシリーズ優勝を誇っている。ブースでは、そうした栄光の軌跡を紹介して、モータースポーツにおけるスズキの魅力をアピールしていた。九州から飛行機で来たというスズキファンのファミリーは、今年で4回目の観戦。「家族で8耐を観戦するのがわが家の夏休みです」と、お母さん。中学生の子供は「スズキのブースには、バイクのガチャガチャがあるのがスゴイ」と、獲得したミニチュアを見せてくれた。

大盛況のスズキブース

大盛況のスズキブース

■未発売のCBR250RRを国内で初展示――ホンダ
ホンダブースでは、7月25日にインドネシアで発表されたばかりのCBR250RRが、国内で初めて実物展示。カメラを構えたファンに終始囲まれていた。物販コーナーにも力を入れており、買い物を楽しんでいたイギリス人の夫妻は、「8耐は世界でナンバーワンのレースだって聞いている。いつか日本に来て、8耐を観たいと思っていたんだ。やっとその夢がかなったよ。」と話し、8耐と日本の旅とを満喫している様子だった。

8耐には新しい発見もある!

8耐には新しい発見もある!

■展示車両を豊富に揃えファンとの距離を縮める――ヤマハ
ヤマハは、ブース内に昨年の8耐優勝車両を展示したほか、「タッチ&トライコーナー」には人気モデルを10台設置。“強いYAMAHA”をアピールするとともに、ヤマハ製品と来場者との距離をグッと縮める空間を提供していた。静岡から1人で観戦に来たという女性は、「ヤマハの大ファンです。免許を取って1年半ですが、いまMT-03に乗っています。もっと運転が上手になりたいので、今日はトップライダーの走りを見て勉強です」と、笑顔をみせていた。

展示車両はファンに大人気

展示車両はファンに大人気

ヤマハが2連覇を達成! 感動のゴール

スタートから8時間。チェッカーフラッグを最初に受けたのは、ヤマハファクトリーレーシングチームだった。2位はカワサキのチームグリーン、3位はヨシムラスズキシェルアドバンスレーシングチームと続いた。夕闇のなか次々とゴールするマシン。勝利に向かって長丁場を走りきったライダーに向けて、スタンドでは感動の拍手がいつまでも止まなかった。

初めて鈴鹿8耐を取材して、このレースイベントは、主催者と出場チーム、スポンサー、二輪車関連企業、地元鈴鹿市、そして観戦にきたバイクファンが一体となって盛り上がる“真夏の祭典”であると実感できた。これだけのレースを長年続けている日本は、スゴイ国だとちょっと誇りに思う。来年いよいよ40周年。鈴鹿8耐は、2017年世界耐久選手権シリーズの最終戦に位置づけられる。海外の強豪チームもレースに加わってくることが予想され、まさに“世界決戦”として見逃せないレースになりそう。2017年、さらに新しい8耐の伝説をこの目で見届けたい。

JAMA「Motorcycle Information」2016年9月号特集より
本内容をPDFでもご確認いただけます。
鈴鹿8耐

 

ライダーに安全を伝えたい! 「二輪車安全運転指導員」制度

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●ライダーを対象として全国で安全運転講習会が開催されている。

●そこでインストラクターをしているのが「二輪車安全運転指導員」。

●二輪車安全運転指導員の資格制度について紹介する。

※この記事は2014年7月に発表された当時の内容を掲載しています。

二輪車指導員は全国で約9,000人

二輪車安全運転指導員制度は、一般財団法人全日本交通安全協会(全安協)と各都道府県交通安全協会のなかに、指導員の資格認定を行う「二輪車安全運転推進委員会」(二推)が置かれ、指導員候補者への研修や資格審査が行われている。いま、指導員の資格を持っているのは、全国で8,983人(2013年末現在)。この人たちがインストラクターとなって、原付免許取得時の実技講習や、警察・団体などが主催する地域での二輪車安全運転講習会、高校生や高齢者などを対象とした原付などの講習会が精力的に開催されている。

二推主催の二輪車安全運転講習会

二推主催の二輪車安全運転講習会

二輪車安全運転指導員の資格は『特別指導員』と『指導員』の二種類がある。特別指導員というのは、講習会のカリキュラムも含めた企画・立案まで行うことが可能で、いわば講習会の推進役となる役割。そして講習会の現場では、この特別指導員と指導員が協力して、受講者への指導を行う。
指導員の資格認定を行っているのは各都道府県交通安全協会のなかに設けられた二推の地方委員会で、これもそれぞれ年1回の養成講習会と資格審査を行うことになっている。資格要件は「年齢20歳以上」「二輪免許または原付免許を取得していること」「二輪または原付の運転経験が3年以上」など。
また、特別指導員の資格認定を行うのは全安協が事務局となっている二推の中央委員会。「大型二輪免許を取得していること」「指導員としての経験が3年以上」「指導員としての活動実績が優秀であること」などいくつかの要件があり、年1回の養成講習会と資格審査が行われている。

指導員養成講習会で指導方法を学ぶ

指導員養成講習会で指導方法を学ぶ

現在の特別指導員、指導員を職業別に見てみると、二輪車販売店など二輪車関連が約5,400人、各地の交通安全協会職員等が約1,200人、高校など学校教員が約200人、そして自営業、会社員などが約2,200人となっている。こうした指導員が活動するのは、一般社団法人日本二輪車普及安全協会の都府県地区支所(都府県地区二普協)が開催する「グッドライダーミーティング」といった二輪車の実技講習会や、各地の免許試験場などで行われる原付・自動二輪車の実技講習会などとなっている。
「当会で把握している講習回数は年間で1万回ほどですが、二輪車の指導は、二輪車販売店がツーリングを行った際に行う指導だとか、警察署単位で独自に行う場合、さらには高校や大学などが行うケースもありますので、指導員の方々が一般のライダーを指導する機会は、かなりの数にのぼると思います」と全安協の担当者は説明している。

ボランティアだからこそやり甲斐がある

指導員歴20年以上という、ベテランの特別指導員である女性のUさんに話を聞いた。Uさんは20歳の時に免許を取り、たまたま運転免許センターで「原付講習指導員のボランティア募集」のポスターを目にして、「大好きなバイクで何かできないかと思っていたところで、ボランティアというのにも惹かれました」と、指導員を志したきっかけを話す。
さっそく資格を取り、地域の交通安全協会に指導員としてメンバー登録。依頼があったときに指導員として講習会に参加するという形で、10年ぐらいは原付講習を担当した。そして、自分自身のライダーとしての技量アップを図ろうと、自動二輪車の講習会に受講者として参加するうちに、グッドライダーミーティングや、警察署が主催する安全運転講習会でも指導員として頼まれるようになったという。
「講習会では、受講者がどんなことを苦手にしていて、何を習得しようとしているのかを読み取ろうと努力します。その結果として、初心者であまり乗れなかった人がだんだん乗れるようになって、うれしそうな顔をしてくれると、自分もすごくうれしいですね」と、やりがいを話していた。

若者にもっと関心をもってほしい

ていねいなアドバイスに定評がある

ていねいなアドバイスに定評がある

2013年3月に資格を取得したという若手の指導員のNさんは、17歳で免許を取得し、府中市にある運転免許試験場での安全運転講習会に受講者として参加し、2012年の二輪車安全運転全国大会で一般Aクラスの東京都代表として出場し、見事に全国優勝したライダー。それをきっかけに指導員になることを勧められ、資格を取得したとのこと。いまでは、府中市の運転免許試験場や世田谷の交通安全教育センターで行われる二輪車の安全運転講習会に指導員として参加している。
「若者のバイク離れなどといわれますが、23歳の私のような者が指導員をすることで、講習会に参加する若い人が増えるといいなと思います。私自身、講習会が楽しかったので、バイクの楽しさをどんどん伝えていけるようにがんばりたいと思います」と笑顔がこぼれていた。

JAMA「Motorcycle Information」2014年7月号特集より
本内容をPDFでもご確認いただけます。
二輪車安全運転指導員

夢を持てる仕事に出会えた!若者から絶賛 バイクデザイン講座

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●自動車技術会が、国内二輪車メーカーの協力を得て、芸術系大学の学生を対象にした「二輪デザイン公開講座」を開いた。

●デザイナーを目指す若者に、バイクデザインの仕事の内容と、その魅力を知ってもらおうという体験型の特別教室。

●4社のトップデザイナーが直々に仕事の技を伝授する授業、受講した学生たちに感想を聞いてみた。

「バイクのことぜんぜん知らないんです」

2016年8月29日・30日の2日間、公益社団法人自動車技術会(自技会)の主催で、静岡文化芸術大学を会場に「二輪デザイン公開講座」が開かれた。これは自技会と、カワサキ、スズキ、ホンダ、ヤマハのデザイン部門が協力し、クリエイターを目指す若者にバイクデザインの仕事を知ってもらおうという特別教室で、芸術系大学の1、2年生約40人が参加した。教室内には大型バイクが何台も置かれ、中央の作業テーブルにはペンや定規などの道具や画材、製品カタログなどが用意されている。

自技会の「二輪デザイン公開講座」

自技会の「二輪デザイン公開講座」

自技会の担当者は、「日本の若いクリエーターの志向性は、ゲームやWebデザインへの人気が高く、クルマやバイクのデザイナーを目指す人が減っています。まずはバイクデザインという仕事があることに、若い世代の目を向けさせたい」と、講座の目的を話す。
授業が始まる前、教室のバイクにまたがっていた女子学生に話を聞くと、「私、バイクのことはぜんぜん知らないんです。こんなに近づいてみたのは初めて」と、素直に告白。こうした受講生をいかにバイクに振り向かせるかが、講座のネライどころといえそうだ。

仕事の難しさと楽しさを伝えたい

何枚も「アイデアスケッチ」を描く

何枚も「アイデアスケッチ」を描く

講座は2日間にわたって行われた。初日の午前中はバイクの歴史やデザインの基礎についての講演。午後からは本格的なワークショップに移行し、受講生全員が「アイデアスケッチ」を描く。
講師は、「バイクデザインの仕事は、1個1個のバイクの部品やその機能について理解していないとできません。難しい仕事だけれど、自分のアイデアが形になったときの達成感は大きい。みなさんぜひ、バイクデザイナーを目指してください」とエールを送った。
続く2日目は「レンダリングスケッチ」の完成に3時間、「クレイモデル」の製作に3時間をかけ、受講生たちは真剣に取り組んでいた。

デザイナーを目指す夢が芽生えた

受講生のなかには課題の難しさに頭を抱えてしまう学生もいた。しかし、各メーカーのデザイナーがつきっきりで描き方をアドバイスし、ヒントを与え、学生は頭のなかのイメージを必死に形にしようとがんばった。

クレイを使って燃料タンクを作る

クレイを使って燃料タンクを作る

指導に当たったデザイナーの1人は、「なるべく自由な発想を大事にしますが、サスペンションが描かれていないなどの知識不足があります。『この形状だとハンドルが切れないよ』と欠陥を指摘するうちに、だんだん彼らのデザインの思考に深みが出てきます。短い時間でどんどん成長しました」と振り返る。
クレイモデルの教室では作業に没頭する受講生たち。ほとんどの学生がクレイを扱うのは初めてだったが、ためらいなく手を動かしていた。「思った形にならないけど、こういう作業は大好き。先生たちの手際がスゴイですね」と、物を作ることに楽しさを感じ始めていたようだった。
冒頭に登場した女子学生、京都造形芸術大学のHさんは、「企業のデザイン部門に就職したいのでいろいろな講習に参加しています。だから私はバイクが好きというわけではなかったのですが、製品を間近でじっくり見ているうちに、カッコよさに惚れ込んでしまいました。いま真剣にバイクデザイナーを目指そうか考えています」と、真面目な顔。
東海大学のYさんは、「大学のデザイン講義は観念的になりがちですが、この講座は実践的で、得られたものが大きかったです。なにしろプロのデザイナーの方にずっとそばについて教えてもらえて、自分でもかなりスキルアップした実感があります。これからもバイクデザインの勉強を続けたい」と、満足そうだった。

講師との会話も弾んでいた

講師との会話も弾んでいた

講座の終盤になると、スケッチの出来映えについて講師とあれこれ笑顔で話す余裕も生まれて、好きなことに取り組む生き生きとした若者の表情が教室にあふれていた。

次の世代に求める日本のバイクデザイン

受講した学生たちの反応は、将来の自分の仕事に出会ったようなワクワク感と、頼もしいくらいの意欲にあふれていた。その若い世代に期待するバイクデザインとはどのようなものか、各社のデザイナーに聞いた。
カワサキのデザイナー・木村徹(きむら とおる)さんは、「人馬一体という言葉通り、バイクは人が乗った状態でデザインが完成します。しかも細部まで、見えるところはすべて、ボルトの1本までデザイナーが決めていく。仕事にとことん自分の個性を込められるのが魅力。新しい時代にバイクはどうあるべきか、既成概念を否定して、私たちが思いもよらないようなバイクデザインにチャレンジしてほしい」と話す。
スズキのデザイナー・森田一男(もりた かずお)さんは、「バイクデザインというのは、一つひとつの部品の機能と人間との関係性を考えたり、むき出しのボディでありながら全天候に対応しなければならないなど、さまざまな制約をクリアしながら形を作ります。難しいからこそやりがいがある。暮らしのなかで長く愛される画期的なデザインを追求してほしい」と話す。

左から田中さん、田村さん、森田さん、木村さん

左から田中さん、田村さん、森田さん、木村さん

ホンダの田村健司(たむら けんじ)さんは、「鉄、アルミ、チタン、カーボンなど、バイクを作る素材は豊富です。表面処理や塗装にもさまざまな手法があって、それらすべてを組み合わせて一つの製品を作り出す面白さがあります。性能にも安全にも心を砕き、バイクデザインは究極の工業製品を作る仕事なのです。これからの世代には、グローバルな視点で価値を生み出せる人材を求めたい」と話す。
ヤマハの田中昭彦(たなか あきひこ)さんは、「人間がマシンを操作して、マシンはそれをフィードバックするわけですが、そこに生まれる喜びをどうデザインするか。モノとしてカッコいいだけでなく、フィーリングを創造するのがバイクデザインの醍醐味です。これからのデザイナーには、整った美しさに甘んじるのでなく、いったんそれを打ち壊して、感性に響く新しいスタイリングにチャレンジしてほしい」と話した。
日本のバイクづくりにかけてきた夢を若い世代に紡いでいく「二輪デザイン公開講座」の試みは、今後、ますます大きな意義をもちそうだ。

JAMA「Motorcycle Information」2016年10月―11月号ズームアップより
本内容をPDFでもご確認いただけます。
PDF: バイクデザイン講座

“三ない運動”から転換した群馬県 交通安全教育の充実に期待

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●群馬県は“三ない運動”を解除し、すべての県立高校で生徒の免許取得を妨げない方針に切り替えた。

●同県ではこれを機に、交通安全教育を拡充していこうという動きも出てきている。

●そうしたなか2016年「二輪車安全運転全国大会」で、群馬県の高校生等クラス選手が日本一になり、同県に朗報をもたらした。

“三ない運動”見直しの経緯

安全教育の拡充をめざす群馬県

安全教育の拡充をめざす群馬県

2014年12月に「群馬県交通安全条例」が制定され、同時に「群馬県の交通安全対策に関する決議」がなされたことに従って、群馬県教育委員会は、従来の「三ない運動」を廃止し、2015年7月に県内すべての県立高校の校長に宛て、「県立学校生徒の二輪車及び四輪車に関する交通安全指導の取組方針について」との教育長通知を出し、「学校は生徒の免許取得を妨げない」という新しい指導方針を提示した。
さらに同県交通政策課および同県警察本部、県教委が連携し、2015年12月には「群馬県交通安全教育アクション・プログラム」を策定し、安全教育の充実に向けて動き始めた。

新しい方針の内容とその後の変化

県教委が示した新しい指導方針は、バイクやクルマの免許について、学校は生徒の免許取得を制限しないというもの。これにより、バイクの「三ない運動」は形が崩れることとなった。ただ実際のバイク利用に関しては一定の制限を残しつつ、県教委としては「なるべくバイク利用の許可を与える方向で校則を見直すよう調整をお願いしている」と説明している。
新しい指導方針の通知後、県教委が行った「交通安全指導の取組方針に関する調査」(2015年11月1日現在)によると、高校生の原付免許取得者数は、県全体で前年の74人から88人に増加。自動二輪車の免許取得申請は、前年の0から11人に増加した。また、クルマの普通免許については教習所への入所者が前年の768人から1,113人へと大幅に増加している。県教委は、「方針見直し後の初年度としては、ある程度、変化があったと捉えています。いまは過渡期と考え、三ない運動を解除しても問題ないことが証明されるなど、周囲の理解を得るには時間をかけていくことが必要と思っています」と話している。
今後、高校生に対する安全運転講習などが拡充されることで、各学校の二輪車指導にもいっそうの変化が期待できるのではないだろうか。

交通安全教育に力を入れていく

2016年8月27日、群馬県前橋市にある群馬県運転免許センターのコースを使って、高崎地区の高校6校の合同による原付の「安全運転講習会」が公益財団法人群馬県交通安全協会の運営で開かれた。
当日は、原付通学を許可されている9人の生徒たちが、安全な発進や停止など基本的な運転技能と、安全確認の大切さをじっくり学んだ。

高校生対象の安全運転講習会

高校生対象の安全運転講習会

参加者の1人は、「免許取得して1年になりますが、発進時の後方確認など、忘れていました。安全運転のポイントを再確認できてよかった」と話し、納得した表情を見せていた。
同県交通安全協会では、「本県が策定した交通安全教育アクション・プログラムの一環として、現在、二輪車指導員の養成などに取り組んでいます。また、『グッドライダーミーティング群馬』や『二輪車安全運転群馬県大会』に、高校生の参加を積極的に推進していく考えです」と話している。
また、群馬県二輪車安全運転指導員協議会の二輪車インストラクターは、「本県は山間部が多く、高校生年代にもなれば通学などにバイクを利用したいと考える生徒は大勢いるはずです。安全運転をしっかり学んで、とくに危険を予測するセンスを身に付けることは、生涯にわたって大切な素養になります」と話していた。

群馬県の高校生等クラスが安全運転日本一に!

そうしたところ、群馬県にとって大きなニュースが飛び込んできた。今年の8月6~7日に行われた「第49回二輪車安全運転全国大会」で、高校生等クラスに出場していた群馬県代表の石綱拳大(いしづな けんた)さんが見事、バイクの安全運転日本一に輝いたのだ。

安全運転日本一の石綱さん

安全運転日本一の石綱さん

安全運転の日本一になった喜びについて、「嬉しいのはもちろんですが、文部科学大臣賞の賞状を手にしたら、なんて重みがある優勝なんだろうと感じました」と話す。
大会に出場したのは、クラブの顧問の先生に「バイク好きなら県大会に参加してみなさい」と、勧められたのがきっかけ。それから2年間、県チームの特訓に参加してトレーニングを受けたという。
高得点のコツは、「課題の内容を読み取って、大事なポイントを“無難にこなす”ことです。うまいところを見せようとして欲が出ると、減点につながります」といいます。そして、そうした心構えこそ、普段の運転でもスピードを抑えたり、無理な走行をしないといった、自制の効いた運転につながると石綱さんは話している。
石綱さんに培われた心と運転技術こそ、まさに交通安全教育の賜物といえそうだ。

JAMA「Motorcycle Information」2016年9月号ズームアップより
本内容をPDFでもご確認いただけます。
PDF: 三ないから転換群馬

災害時にバイクを活用する

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●警察、消防、国土交通省には、災害時に備えたバイク活用の取り組みがある。

●バイクの機動力や燃費のよさを活かして、被災地での効果的な活動ができる。

●近年の地震や台風による被害で、バイク隊が実際に出動するケースも出てきている。

※この記事は発表当時(2015年9月)の内容を掲載したものです。

国の危機管理体制の強化とバイク

国内で大規模な自然災害が発生した場合、警察や消防、国土交通省などの行政機関は、それぞれの防災業務計画に基づいて災害対策に当たることになっている。とくに大震災などの被災現場でバイクの有用性が認められるようになったのは、1995年1月の阪神・淡路大震災による教訓だ。

阪神淡路大震災の交通状況(バイクの機動性が役立った)

阪神淡路大震災の交通状況(バイクの機動性が役立った)

当時、倒壊した建物などによって交通機能がマヒしたなか、多くの市民が買い出しなどの足にバイクを使った。また、「震災直後、大阪市旭区から神戸市までのクルマの所要時間は約16時間。同時に出発したバイクはわずか2時間で到着した」という記録もあり、バイクの機動性や迅速性がいかに頼れるものだったかがわかる。

都道府県警察による災害時のバイク活用

警察庁は東日本大震災の後、災害時の危機管理体制を見直し、2012年5月に「警察災害派遣隊」を新たに編成した。これは大規模災害が発生したときに、都道府県の枠を超えて応援部隊が被災地に派遣される仕組みだ。派遣隊のなかには交通部隊や警備部隊などがあり、それらの部隊には被災地での情報収集活動を行う「先行情報班」が置かれ、主にこの班によってバイクが運用されている。現在、交通部隊に約170台、警備部隊には約300台のオフロードバイクが配置されている。こうしたバイクの役目は、後続部隊の活動を有効なものにするため、いち早く現地の被災情報を収集することにある。
また最近は、「警察災害派遣隊」とは別に、都道府県警察が独自に災害時の活動用にバイクを導入しようという動きもある。注目すべき例が、2014年3月に警視庁が全国で初めて導入した“オフロード白バイ”。地震などの災害発生時に出動し、現場の状況を車載カメラで撮影して本部に送信し、被災状況をリアルタイムに確認できる機能を搭載している。

警視庁が導入したオフロード白バイ

警視庁が導入したオフロード白バイ

首都直下地震などが発生した場合、緊急交通路の確保を行うなど、オフロード白バイの機動性を活かした活動を想定しているという。

消防本部が活用する“赤バイ”の有用性

京都市消防局の赤バイ「KYOTO RED WING」

京都市消防局の赤バイ「KYOTO RED WING」

警察の“白バイ”に対して、消防機関は“赤バイ”(消防バイク)を運用している。消防本部は全国に750本部あるが、配備されている車両数は合計159台となっていて、全体からみると消防バイクの普及はまだ一部に限られている。しかし、実際に運用している消防本部の評価は高く、「大型車両や救急車等が通行できない狭い道路や場所(山岳など)に進入し、迅速に各種活動が可能であること、また、車両渋滞時に先行して現場に到着して活動できる」との報告もあり、バイクによる活動メリットは少なくない。

地域に貢献している消防団バイク隊

消防団は地域の住民が自ら参加して運営する消防機関で、全国に2,200を超える組織がある。そのうちわずかではあるが、消防バイクを保有している消防団もあり、消火活動をはじめ、遭難者の捜索、防災広報、避難広報、祭りの警備など、いろいろな場面で活動している。

気仙沼消防団バイク隊

気仙沼消防団バイク隊

宮城県気仙沼市の消防団は、緊急車両の消防バイク3台と一般車両のオフロードバイク3台を運用して、隊長以下9人の隊員でバイク隊を組織している。東日本大震災では、津波の危険が迫る最前線で拡声器を使って避難誘導を行い、被災後には、クルマの通行が途絶えた孤立集落に進入して住民の安否確認を行うなど、必死の活動を展開した。
隊員の1人は、「津波で道がなくなり、ヘリコプターでなければ行けないような孤立集落に養護施設が残されました。そこにいる子供にぜんそくの薬を届けることができたときは、バイクの威力に感謝したものです」と話している。

一刻も早いインフラ復旧のために

一般にはあまり知られていないが、国土交通省も災害時の緊急対応にバイクを活用している。これは地震などの災害発生時に、管轄する国道の被災状況を把握するのが主な任務。

国土交通省バイク調査隊

国土交通省バイク調査隊

北陸地方整備局では、東日本大震災の際に調査用バイクを被災地に2台派遣。リエゾン(災害対策現地情報連絡員)の移動の足として活用した。津波で破壊された町を復旧させるために、まずは道路の啓開が必要になり、浸水地域から水を掻き出すポンプ車や重機の手配にバイクでの情報伝達が大いに役立ったという。

JAMA「Motorcycle Information」2015年9月号特集より
本内容をPDFでもご確認いただけます。
PDF: 災害時バイク


国際基準調和を推進する 二輪車排出ガス規制の動向

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●2016年10月に二輪車排出ガスの「平成28年規制」が施行され、欧州の規制である「EURO4」とほぼ同等の規制水準になった。

●2020年には欧州と同様に日本も「EURO5」へと移行する見通しで、日欧間での国際基準調和は大きく進展する。

●進展している日本の二輪車排出ガス規制について、これまでの経緯と今後の方向性についてまとめた。

※この記事は発表当時(2016年12月)の内容を掲載したものです。

二輪車排出ガス規制の経緯

■初めての規制導入――平成10年規制(第1次規制)
自動車排出ガスの主な成分には、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)がある。二輪車の場合、NOxの排出割合は小さいものの、HCの割合は無視できるほど小さくはないとされ、1998年10月1日、わが国で初めての二輪車排出ガス規制(平成10年規制)がスタートした。

■大幅に強化された規制値――平成18年規制(第2次規制)
規制導入から8年後の2006年10月1日、政府は二輪車の排出ガス規制を強化(平成18年規制)。日本の二輪車排出ガス規制は一気に「世界で最も厳しいレベル」に引き上げられた。新旧の規制値を比較すると、NOxについては従来の50%削減、HCおよびCOについては、車種により75~85%もの削減が求められている。

2006年に強化された二輪車排出ガス規制の規制値

■国際基準調和へ――排出ガス試験にWMTCモードを採用

2012年に導入された排出ガス試算方法による測定区分
2012年10月1日、わが国の二輪車排出ガス規制は、排出ガスの試験方法を変更したことで新しい局面を迎えた。それまでは排出ガスの測定に日本独自の測定方法が使われていたが、それに換えて国連で策定された「WMTC(Worldwide Motorcycle emissions Test Cycle)モード」という測定方法が導入されたのだ。WMTCモードの測定区分は、排気量と最高速度によって「クラス1」から「クラス3」まで分かれており、より現実の走行実態に即した測定のため、日本が従来使ってきた測定モードよりも厳しい。このため日本での導入に当たっては、平成18年の規制水準を落とさない程度に、一部の規制値を調整(緩い値に)している。WMTCモードに変更したことにより、日本の排出ガス規制は、欧州の規制である「EURO3」との比較が可能になり、国際基準調和の方向へと進路をとることとなった。

 

■日欧の規制レベルがほぼ調和――平成28年規制(第3次規制)

さらに厳しくなった平成28年規制の内容

2016年10月1日、WMTCモードが採用されてから初めての規制強化(平成28年規制)が行われた。それまでの規制値と比較して、COは約5割、HCは約3割、NOxは約6割の削減を求める数値に引き下げられた。また、これまで日本の車両区分に合わせていた規制値区分は、WMTCモードの測定区分へと改められ、よりいっそう国際的に通用する規制へと整序された。さらにこの規制では、燃料タンクなどから排出される燃料蒸発ガスの測定方法や規制値を策定。加えて、排出ガス関連部品の故障を運転者に知らせるための車載式故障診断装置(OBD)を義務づけた。
こうした内容の平成28年規制は、欧州の「EURO4」とほぼ同等の規制になっている。すでに進んでいる騒音規制に加え、排出ガス規制の調和を図ってきたことで、二輪車に関する日本と欧州の設計仕様は大きく歩み寄ったものになる。

さまざまな技術革新で規制をクリア

こうした規制に二輪車メーカーはどう対応してきたか、一般社団法人日本自動車工業会(自工会)二輪車特別委員会の担当者は次のように話す。「規制値はもちろん闇雲に決められているわけではなく、国と有識者が、業界の意見も踏まえながら検討を行っています。環境に与える影響に応じて、二輪車も相応の責任を負っていくというのが基本的な考えです」
高い規制目標をクリアするには、エンジンの燃焼効率を高めることはもちろん、FI(電子制御燃料噴射装置)化を進め、三元触媒や酸素センサーを搭載して排出ガスの浄化性能を高めるなど、さまざまな技術を二輪車に適用して製品開発を行ってきた。
担当者は、「地球環境への関心が高まる一方で、乗り物には走る楽しさを追求する面もあります。とくに二輪車は、いくら高い規制レベルをクリアしても、走りの魅力を失ったら意味がありません。二輪車の技術者は、環境性能と走行性能の両立に、まさに心血を注いでいると思います」と話している。

2020年の規制強化で一定の到達点へ

今後の規制について検討されている内容をみると、日本の次期規制(第4次規制)は2020年の「EURO5」と同等の規制とすることが検討されており、日本と欧州の規制はいわば“完全調和”へと向かう。また、この規制レベルは四輪車の規制にほぼ追いつく水準となっており、二輪車が目指すべき一定の到達点にたどり着く内容となっている。

2020年に導入が予定されている[EURO5]の規制レベル
自工会担当者は、「到達点が見えてきたとはいえ、2020年以降は粒子状物質(PM)の規制も加わって、排出ガス試験もますます厳しい方法が検討されるようになると思います。とくに今後の課題は、いかに新車の環境性能を担保していくかということに関心が向き、排出ガス系の故障を検出したり、汚染源となる違法改造車を撲滅しようという方向に向かうと考えられます。二輪車メーカーがいま一生懸命取り組んでいるのもOBDシステムの開発で、ユーザーに故障を知らせるだけでなく、違法改造を防止する機構としても役立つと考えられます」という。
そして国際基準調和が進むことによって、さらに将来的にどのようなメリットが生じるかについては、「日本で型式認定を取った二輪車なら、欧州で再取得しなくても流通できるようになれば理想的です。基準が統一されることで各国の行政手続きが効率化されたり、二輪車メーカーにとっては開発コストの軽減につながったり、それが製品価格に反映できればユーザーにもメリットが生まれます」と話している。
騒音規制や排出ガス規制のほか、保安基準などにも規格を統一すべき項目は数多くあるが、国際基準調和への取り組みは、日本をはじめ各国の二輪車業界が目指す大きな潮流となりそうだ。

JAMA「Motorcycle Information」2016年12月号ズームアップより
本内容をPDFでもご確認いただけます。
PDF: 二輪車排出ガス規制

ライダー座談会(前編) 女性のバイク需要を拡大する!

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●各方面で活躍する4人の女性ライダーが出席し、座談会を行った。

●前編は、出席者自身のバイクライフを紹介。

●バイクに乗り始めたきっかけや海外事情など、興味津々の話題。

※この記事は発表当時(2017年1月)の内容を掲載したものです。

=出席者(50音順)=

●岡崎 静夏(おかざき しずか:1992年・横浜市生まれ):バイクレーサー
2016年のロードレース世界選手権日本グランプリ(Moto3)クラスに出場。日本人女性としては21年ぶりの快挙。

●川崎 由美子(かわさき ゆみこ:静岡県生まれ)二輪ジャーナリスト、ピアニスト
1982年からテレビ・ラジオのレポーターとして活躍。1991年にメキシコのラリー「BAJA 1000」を完走。2006年からドイツ・デュッセルドルフに在住し、2013年帰国。

●下川原 利紗(しもかわら りさ:1993年・埼玉県生まれ)タレント
2015年ミスユニバース埼玉県代表。テレビ、二輪専門誌でタレント活動を展開中。

●保田 奈那(やすだ なな:神奈川県生まれ)二輪専門誌編集者
2005年クレタ入社。『レディスバイク』『タンデムスタイル』『アンダー400』『風まかせ』『スクーターデイズ』などを担当。トライアルはじめモータースポーツ全般が趣味。

司会:『Motorcycle Information』編集部

ライダー4人それぞれのプロローグ

【司会】本日はお集まりいただきありがとうございます。さっそく座談会を始めたいと思います。はじめに岡崎さん、昨年(2016年)はロードレース世界選手権の日本グランプリ(Moto3クラス)に出場されたわけですが、振り返っていかがですか?
【岡崎】まだまだ力不足でしたが、世界の壁の厚さがハッキリわかりました。最後の1~2周でやっと自分なりにレースの糸口をつかめたので、「もう1回最初から走らせて!」って感じでした(笑)。でも、たくさんの人に応援してもらって、広がりを感じた1年でした。

岡崎静夏さん

岡崎静夏さん

【司会】続いて下川原さん、ミスユニバース(2015年・埼玉県代表)がバイクに乗るというので大いに注目されましたね。バイク関連の仕事も多かったようですが。
【下川原】はい。バイクは私のいちばんの趣味なんですが、いざ仕事で関わってみると、たとえばレースにしても、ピット作業の舞台裏を見せてもらったりして、ますます感動しました。ファン目線ではない角度からバイクの世界を見て、ちょっと視野が広がった感じがします。

下川原利紗さん

下川原利紗さん

【司会】続いて川崎さん、2013年まで8年間ドイツで暮らしていたそうですが、日本に帰ってきていかがですか?
【川崎】帰国してからつくづく感じるんですが、日本ほど女性が安心してバイクを楽しめる国は他にないですね。ツーリング先でバイクが盗難にあう心配もないし、どこに行っても夜中でもコンビニがあるから、食事や休憩をどうするかという心配がまったくありません。そのうえ見事な四季が楽しめるんですから最高ですよね。ヨーロッパの国々だとそうはいきません。

川崎由美子さん

川崎由美子さん

【司会】確かにそう言われてみると、日本のツーリング環境は安心と便利が行き届いているんですね。さて、保田さんは二輪専門誌『レディスバイク』の編集を担当されています。
【保田】はい。本誌は30代のライダーを中心に、これから免許を取りたいという10代、20代、子育ての済んだ40代、50代まで、幅広い層の女性たちに読んでもらっています。今日のテーマにも関係しますが、女性はいろいろな事情で「乗りたいけど乗れない」悩みが多いんですね。そこをどう克服するか、「こうすれば楽しめるよね」っていう提案をいつも心がけています。

保田奈那さん

保田奈那さん

親の影響で乗り始めた女性たち

【司会】岡崎さんは、レース以外の日常でもバイクには乗るんですか?
【岡崎】はい。最近400ccの新しいスポーツバイクにしたばかりで、片道25kmで約1時間の通勤にほぼ毎日使っています。あと、3つ下の弟と一緒にツーリングに出かけることもあります。両親ともバイクに乗るので、今日は外でご飯食べようとかいう話になると「じゃあバイクだね」ってなって、4人家族が4台で移動という、なんとなく無駄な(笑)、でも気楽で楽しいバイク一家なんです。
【下川原】私の家もみんなバイク好きです。休みになると父と母がタンデムして私と2台で、住んでいる埼玉県内の名所を巡ったりします。独立した兄が2人いるんですが、やはりバイクに乗るので、たまにみんな集まってツーリングすることもあります。バイクは家族のコミュニケーションに欠かせない存在ですね。

家族でツーリングを楽しむ下川原さん一家

家族でツーリングを楽しむ下川原さん一家

【司会】岡崎さんも下川原さんも両親がバイク好きで、娘が乗ることにも理解があったわけですね。保田さん、いまそういうふうにして免許を取る若い女性が増えているんでしょうか?
【保田】親の影響で乗るケースはまだ珍しいほうかな。やはり女性がバイクに乗り始めるのは、自分の彼氏や男友だちの影響を受けてというのがいちばん多いと思います。あとは晩婚化もあって、自立したカッコいい女性のアイテムとして、誰の影響でもなくバイクに乗る女性は増えています。それもまだ少数派ですけどね。岡崎さんは、親の影響がなくてもバイクに乗ったと思いますか?
【岡崎】どうでしょうね。彼氏に教えてもらって乗り始めるなんて素敵。私もそうやってバイクに出会いたかったな(笑)。私は16歳で免許を取りましたが、両親に感謝しているのは、どんなに暑くてもフルフェイスとライディングウエアを徹底されたこと。そこから安全への心がけが染み付きました。親からバイクを教えてもらって、そういうところはすごくよかったです。
【下川原】私もバイクに乗るのは当たり前と思って育ちましたが、はじめは母に反対されて、二輪免許を取ったのは19歳になってからでした。たぶん父が私と一緒に走りたくて賛成してくれたんだと思いますが、その父も普段は優しいのに、バイクのことになるとやたらと厳しいんです(笑)。でも、親からバイクの乗り方や心構えを教えてもらえたのはとてもよかったと思います。最近は私の周りにもアクティブな女性がすごく増えているので、バイクの安全について正しい理解が広がれば、もっと乗りたいと思う女性が出てくると思います。

バイクの路上教習が目に止まる欧州

【司会】なるほど、最近は親の影響で乗り始める人も増えてきているんですね。川崎さん、ヨーロッパでの女性のエントリー事情はどうですか?
【川崎】女性ライダーの数でみたら、日本に比べたら多いでしょうね。ドイツはとくに元気で、大型バイクやスポーティなタイプが大好き。女性限定のライダー団体もあって、世界的に活動していますよ。イタリアも女性ライダーは多くて、スクータータイプを日常的に乗っている感じ。

ヨーロッパの女性ライダーと川崎さん(前列右から2人目)

ヨーロッパの女性ライダーと川崎さん(前列右から2人目)

免許取得について日本と大きく違う点を挙げると、EUはバイクにも路上教習があるんです。教官が生徒にインカムを使って指導するんですが、公道での実地訓練は、女性たちにとってすごく心強いスキルになると思います。日本ではせっかく免許を取っても、公道が怖くて一度も車庫からバイクを出せない人もいるくらいですから。
【司会】それは笑えない話ですね。でも、バイクの路上教習って危なくないですか?
【川崎】制度として成り立っているわけですから、リスクは管理されていると思います。それにオープンに行われていることで、道行く人が「バイクの教習やってるなあ」って、見て思うわけじゃないですか。「私もバイク免許取りたいな」となる人も多いと思うんです。
【司会】なるほど。日本では見られない光景ですからね。教習シーンを目にすれば、「バイクっていいかも」というきっかけになる可能性はありますね。
(後編に続く)

JAMA「Motorcycle Information」2017年1月号特集より
本内容をPDFでもご確認いただけます。
PDF: 女性ライダー座談会(前編)

ライダー座談会(後編) 女性のバイク需要を拡大する!

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●各方面で活躍する4人の女性ライダーが出席し、座談会を行った。

●後編は、女性ライダーを増やすためのアイデアを自由に発言。

●「バイクはカッコいい」だけではダメ!

※この記事は発表当時(2017年1月)の内容を掲載したものです。

=出席者(50音順)=

●岡崎 静夏(おかざき しずか):バイクレーサー
2016年のロードレース世界選手権日本グランプリ(Moto3)クラスに出場。日本人女性としては21年ぶりの快挙。

●川崎 由美子(かわさき ゆみこ)二輪ジャーナリスト、ピアニスト
1982年からテレビ・ラジオのレポーターとして活躍。1991年にメキシコのラリー「BAJA 1000」を完走。2006年からドイツ・デュッセルドルフに在住し、2013年帰国。

●下川原 利紗(しもかわら りさ)タレント
2015年ミスユニバース埼玉県代表。テレビ、二輪専門誌でタレント活動を展開中。

●保田 奈那(やすだ なな)二輪専門誌編集者
2005年クレタ入社。『レディスバイク』『タンデムスタイル』『アンダー400』『風まかせ』『スクーターデイズ』などを担当。トライアルはじめモータースポーツ全般が趣味。

司会:『Motorcycle Information』編集部

バイクに乗れば男性にモテる

【司会】本日の座談会は、女性ライダーを増やすにはどうしたらいいかというテーマです。ここからはあらためて、日本で女性ライダーが少ないのはなぜか、そこからうかがいたいと思います。岡崎さんいかがですか。

ユニークなアイデアを提案する岡崎さん

ユニークなアイデアを提案する岡崎さん

【岡崎】やっぱりイメージでしょうね。バイクはカッコいいイメージのものなので、「バイクに乗っているからカワイイね」って、なりづらい。女性からみるとそこが大事なので。ミニスカートやヒールも履けないし、デート服にならない。どこからどうみてもかわいいライディングウエアで絶対安全、そういう画期的なものが登場したとしても、かわいらしさを求める大多数の女の子が、わざわざそこを目指すとは思えないし……。
【司会】女性のマジョリティに対して、「バイクはカッコいい」というアピールだけでは限界があるというわけですね。
【岡崎】そうです。女性ライダーを増やそうと真剣に考えるなら、「バイクに乗れば男の子にモテるよ」っていうことを広く知ってもらう。「バイクに乗れば、男の人と会話ができるよ」っていう、男の友だちが増える手段としてのバイク。加えて、ツーリングで行くためのデートスポットをひたすら紹介してくれる専門誌も欲しいところです。「こんな誘い方あるよ」って、男女どちらにも通用する提案型のもの。
【司会】なるほど……。そのあたり保田さんいかがですか。
【保田】確かに10年くらい前に『レディスバイク』の読者からよく言われたのが「着たいウエアが少ない」っていうことです。でも、いまはシンプルでおしゃれなウエアが増えているし、そこは解決する方向に行っていると思います。
【司会】そうですか。女性ライダーのファッションも進化しているということで安心しました。ただ、岡崎さんのいう「バイクに乗ればモテる」ということを男性にでなく女性にアピールしていくという発想は面白いし、「ツーリングデート・ガイド」という形での情報拡散もこれまでにないアイデアで、実際にあったら人気が出そうですね。

バイクの運転や教習に対する誤解がある

【司会】ほかにも、女性ライダーが少ない原因を探っていきたいと思いますが、下川原さんは何か心当たりはありますか?

女性の苦手意識を払しょくできないか?下川原さん

女性の苦手意識を払しょくできないか?下川原さん

【下川原】はい。女性がバイクに近づき難いイメージがあるとしたら、大型トラックやバスと同じように、運転の難しさを想像しているのかなと思います。というのも、私がバイクに乗るのをみて、友だちが「これ運転できるのって、すごいね」とか、「面白そう。乗ってみたいけど私には無理」って、興味は湧くようなのですが、なかなか近づいてこないんです。
【保田】そうだよね。免許取得前の読者からは、「こんな私にも運転できるでしょうか」みたいな不安の声が多いし、そこがハードルとしていちばん高いところだと思います。
【司会】バイクの運転の難しさに、男女の差ってあるものなんですか?
【岡崎】体格だとか筋力だとか確かに差はあるんですが、跨ったときに足が爪先立ちになる人だって、問題なく乗れるようになります。
【川崎】バイクを倒したら持ち上げて起こせないと免許は取れないって思っている人が多いし、「絶対私にはできない」って決めてかかっていますよね。教習に対しての誤解もあるのかもしれません。
【保田】教習所のイメージが女性には怖いんです。親切には教えてくれないだろうという心配があって、入校しようとして行ってみたけど「やっぱり今日はやめておこう」みたいな人がけっこう多い。教習所からしたら“女性歓迎”なのに、それがいまひとつ伝わっていないんだと思います。
【下川原】ちょっとの勇気で一歩踏み出して、実際に乗ってみれば、そんなに難しいことじゃないと思うんです。そういう女性たちの思い込みや誤解が解けるようになってほしいですね。
【司会】バイクに対する女性の苦手意識を一気に打ち破るか、あるいは地道にサポートを続けるのがいいのか、何か取り組みが必要かもしれませんね。

バイクの魅力を多くの女性と共有したい

【司会】さて、モータースポーツへの関心も、バイク需要を押し上げる大事な要素だと思います。岡崎さんは中学までは器械体操の選手としてオリンピックを目指していたそうですが、それなのになぜバイクレーサーへと転身したのか、教えてください。

日本グランプリを疾走する岡崎さん

日本グランプリを疾走する岡崎さん

【岡崎】私にとってはバイクのほうが面白いと感じたからです。器械体操は自分の身体を使ってやることなので不思議なことはありません。バイクも全身を使いますが、右手をひねればブンッって強烈に加速して、コーナーではあり得ないような角度まで傾けて走ります。自分の身体能力の想像を超えたところにあるスポーツは、ナゾが深くて面白いと思ったんです。
もちろん選手権となると、多くの女性が簡単に取り組める世界ではないですが、MFJ(一般財団法人日本モーターサイクルスポーツ協会)が運営しているレディースロードレースなどは、女子会のようにワイワイ楽しめる雰囲気もあります。女性のモータースポーツへの関心も、もっと高まってほしいですね。
【司会】ありがとうございます。続いて下川原さん、これから女性たちにバイクのどんな魅力を伝えたいですか?
【下川原】そうですね、バイクに乗っていると、いろいろな感動が大きいということを伝えたいですね。たとえばバイクを通じて多くの人との出会いがあるし、ツーリング先でのごはんは美味しいというようなことまで感動的なんです。ある日の夜、バイクで移動中にお祭りの渋滞にハマって「しんどいなあ」って思っていたら、後ろで花火が上がって、前のクルマのガラスに反射してすごくきれいに眺めることができました。あれは私がバイクだったからこそ楽しめたんだと思います。そういう感動に出会うたび、心が豊かになれる。多くの女性とそういう感覚を共有したいですね。

女性のバイク需要を拡大するために

【司会】さて保田さん、ここまでいろいろな意見が出ましたが、女性ライダーが安心してバイクライフを楽しむには、どんな課題を克服していく必要がありますか?

L+Bike http://www.l-bile.com/

L+Bike http://www.l-bile.com/

【保田】私はやはり駐車場問題を挙げたいと思います。もちろんこれは女性に限った課題ではないのですが、買い物だとか日常の用足しをバイクでこなしている女性にとっては、切実な問題なんです。私も昨年9月にフランスを取材しているんですが、どの町でもバイク駐車場が完備されていて、バイクで移動している人たちが大勢います。女性たちも駐車場にバイクをサッと止めて、スーパーで買い物をして、またバイクでピューッと帰る。そういうのを目にして、日本でもいろいろ工夫してバイクの駐車スペースを増やしてほしい。この問題は、『レディスバイク』でも積極的に取り上げたいと思っています。
【司会】最後に川崎さん。今年の1年、女性ライダーのためにどんな取り組みができそうですか?

女性のために活動したい川崎由美子さん

女性のために活動したい川崎由美子さん

【川崎】私はライダーの安全啓発やイメージアップのために、世の中と接点のあるイベントを行っていきたいと考えています。昨年は私が主宰している「MAMA’S倶楽部」のミーティングイベントをオープンな場所で実施したところ、一般のお母さんやお子さんも見に来てくれて、「私もバイクの免許を取ろうかしら」って、興味をもってもらえました。そういうきっかけづくりになるような活動を今年もしたいですね。
あと、たとえば私はピアニストとしても活動しているんですが、意外なことに音楽家や演奏家にはライダーが多いんです。一般の方が無料で観られるような場所で、ライダーによるコンサートを開けば、多くの女性にも強い関心を持ってもらえるかなと思います。
【司会】みなさん本日は貴重なご意見をありがとうございました。

(了)

JAMA「Motorcycle Information」2017年1月号特集より
本内容をPDFでもご確認いただけます。
PDF: 女性ライダー座談会(後編)

 

2017年のバイク界に新旋風! 超元気タレント・梅本まどかさん

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●女性アイドルグループ「SKE48」の元メンバー・梅本まどかさん(24歳)はバイクが大好き。

●タレント活動をモータースポーツの分野にも拡大し、元気いっぱいに活躍中。

●アイドルを卒業した異色の“バイク女子”が、2017年のバイク界に旋風を巻き起こす。

※この記事は発表当時(2017年1月)の内容を掲載したものです。

アイドル卒業後に選んだ道

インタビューの待ち合わせ場所に、400ccのスポーツバイクで現われた梅本さん。ミリタリージャケットが黒のバイクに似合って、ライダー姿がサマになっている。かわいいイメージからは遠ざかったのかと思いきや、ヘルメットを脱ぐと、アイドル時代と変わらない笑顔が弾け、「梅本まどかです!」と明るい第一声。

梅本さんの愛車は黒のネイキッド

梅本さんの愛車は黒のネイキッド

昨年(2016年)3月末にSKE48を卒業。翌4月からタレントとしての新天地を求め、出身地である名古屋市の観光PRやスポーツイベント、演劇など、広く芸能活動に取り組んでいる。
「なかでもずっとやってみたいと思っていたのがモータースポーツの仕事です。私、バイクやクルマが大好きなんです」
昨年はF1など四輪レースのレポーターを務めたり、バイク関連ではMotoGP会場でのトークショーに出演する一方、サーキットでのバイク走行を収録したプロモーションDVDをリリースするなど、二輪・四輪の世界に飛び込んで思いっきりチャレンジしている。

鈴鹿8耐を観てバイクが大好きに

梅本さんがバイクに関心を持ったのは、2011年にSKEのメンバーとして鈴鹿8耐の前夜祭でライブ公演をしたのがきっかけ。そのとき初めてバイクレースを観て、マシンの音とサーキットの雰囲気にすっかり興奮。「バイクって、なんてカッコいいんだろうって思って、私も乗るぞっていう気持ちになりました。普通そうなりませんか、ヘンですか?」と、照れくさそう。

きっかけは鈴鹿8耐を見て

きっかけは鈴鹿8耐を見て

免許費用をしっかり貯金して、家で「バイク免許を取りたい」と話すと、母親からは「バイクなんてあなたに乗れるの? 大丈夫?」と、かなり心配されたという。
「確かに私、器用なほうじゃないんですけれど、やってみなくちゃわからないじゃないですか。周りにバイクに乗る人がまったくいなかったので、誰からのアドバイスもなく、とにかく教習所へ通い始めました。そしたらとても親切に教えていただいて、思ったよりずっと楽に取れました」とニッコリ。2012年9月、梅本さんは20歳で普通二輪免許を取得。免許証を眺めるたびにワクワクする気分を味わっていた。
そんなある日、「えーっ、そんなー」と天を仰ぐ梅本さん。アイドルの仕事上、バイクの運転は“禁止事項”だったのだ。「そんなの知らなかったよ」と、ため息をつきつつ、梅本さんはしぶしぶ免許を“封印”したという。

アイドル時代は免許を”封印”

アイドル時代は免許を”封印”

バイクで走ると気持ちが真っ白になる

「それからSKEを辞めるまでの4年間、バイクで走ってみたくて本当にウズウズしていました」と話す梅本さん。“卒業”間近となった昨年3月には、欲しいバイクを探しに母親と一緒に販売店巡りを開始。次々バイクに跨っては携帯で撮影してもらい、自分に似合っているかどうかをチェック。「やっぱり自分が乗ったときいちばんカッコよく見えるものが欲しかったから、かなり時間をかけて真剣に選びました」と話す。

バイクで走ってリフレッシュ

バイクで走ってリフレッシュ

そうやって見つけた愛車は、梅本さんを新しい世界へと踏み出させてくれた。「このバイクでいろいろなところに行かれるんだというワクワク感が、毎日を楽しくさせてくれるんです。着るものにしても、以前ならワンピースとかカワイイ系のものばかりでしたが、いまはバイクに乗って似合いそうな服にも目が行きます。そういう変化をとても楽しんでいます」と、嬉しそう。
乗り始めてまだ1年に満たないが、公道走行にもすっかり慣れて、天気がよければどこに行くのもバイク。「行き先や目的がなくても走るのが好きで、街乗りがすごく自分のリフレッシュになっています。バイクの魅力はそうですね、なんといっても爽快感。走っていると幸せな気分になれて、気持ちが真っ白になります」と話し、バイクで出かける時間を存分に楽しんでいる様子だ。

バイクの世界を盛り上げたい

幼い頃から歌とダンスが好きで、クラシックバレエやガールズダンスを習い、中学になると友達とカラオケでアイドルの振り付けを真似て楽しんだという梅本さん。高校ではチア・リーディング部に入部し、その魅力に取りつかれたという。
「チア・リーディングって、つまり応援団なんですが、団体で演技するのでメンバーが本当に力を合わせないとできないし、みんなで頑張ってワーッと盛り上がる瞬間が私、大好きなんです。モータースポーツも、ライダーやドライバーが1人で戦っているわけじゃなくて、メカニックやスタッフとの共同作業ですよね。ピットに帰ってきた選手が『やったぜ!』ってみんなとハグするのを見ると感動します。モータースポーツの世界に加わって、私も一緒に盛り上がりたい。バイクの世界をワーッと応援したい。私はそのチア・リーダーをやりたいのかもしれません」と、梅本さんは一気に話した。

チア・リーディングのポーズをとる梅本さん

チア・リーディングのポーズをとる梅本さん

夢だったアイドルを卒業したいま、その経験を活かして、自分が本当にやりたいことをしたい。いろいろなところにツーリングをして、バイクならではの魅力を紹介できたらいいなと思っている。「私にしか伝えられない言葉もきっとあると思うんです。それを大事にして、“いちばん元気よく”をモットーにやっていきたい」と目を輝かせる。
今年の抱負を尋ねると、「あの、じつはつい先日、大型二輪免許を取っちゃいました。なので、今年はいろいろなバイクに乗ってみたいですね! 大型バイクの教習も毎日楽しかったです。もしバイクに憧れている人がいたら、免許取得は心配するほどたいへんじゃないので、がんばって!って応援したい」と話し、チア・リーディングのポーズで最後をキメてくれた。

JAMA「Motorcycle Information」2017年1月号特集より
本内容をPDFでもご確認いただけます。
PDF: 2017年のバイク界に新旋風!超元気タレント梅本まどかさん

モーターサイクルショー各地で開催!

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北海道モーターサイクルショウ

3月11日(土)~12日(日)の2日間アクセスサッポロで開催
開催要項PDF:http://www.jmpsa.or.jp/prg_img/pdf/pdf2017011114390922888300.pdf
HMGサイト:http://www.hmg.or.jp/

大阪モーターサイクルショー

3月18日(土)~20日(月・祝)の3日間 インテックス大阪で開催

大阪モーターサイクルショー
URL:http://www.motorcycleshow.jp/

 

東京モーターサイクルショー

3月24日(金)~26日(日)の3日間 東京ビッグサイトで開催
東京モーターサイクルショー
URL:http://www.motorcycleshow.org/

 

ご来場をお待ちしております。

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