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ファッションモデル&女子高生 自分だけの“お気に入りバイク”大好き!

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●整備も自分でするほどバイクが大好きな紗喜花さん。

●通学に使っている原付バイクが超お気に入りの女子高生Kさん。

●ファッションモデルと女子高生による、ホンネのトークコラボ!

※この記事は2018年2月時点の内容です。

01_沙喜花さん 02_女子高生Kさん

ファッションモデルとして人気上昇中の紗喜花さん(写真上)は、大のバイク好き。走るだけでなくメカにも興味があって、メンテナンスはもちろん、自分でカスタムもやりたいという好奇心旺盛なバイク乗りだ。
かたや、某工業高校に通う女子高生Kさん(写真下)は、授業で原付エンジンの分解・組み立てをこなすバイクLOVEな女の子。寒い冬に片道15kmの原付通学も、愛車と一緒なら「ぜんぜん平気」だそう。
今回は“トークコラボ!”と銘打って、この2人のバイク好き女子に、自由なおしゃべりを楽しんでもらった。果たしてどんな会話が飛び出すか。

バイクは他の人とかぶりたくない

紗喜花さんは、モデルとしてのルックスもさることながら、大型二輪免許をいわゆる一発試験で取得した強いハートの持ち主。自分の誕生年と同じ年式の400ccネイキッドスポーツをこよなく愛している。「今日はバイク好きの女子高生とお話できるので、ちょっとワクワクしてます」と楽しそう。愛車を走らせ、Kさんの自宅を訪ねた。

沙喜花さんの愛車は400ccネイキッド

沙喜花さんの愛車は400ccネイキッド

Kさんが、いつもの通学スタイルで原付スクーターを車庫から出してきてくれた。あいさつもそこそこに、さっそく2人のおしゃべりが始まった。
「かわいい!このスクーター。これ自分で塗ったの? このリボンとか、このステッカーは自作?」と、次々質問を浴びせる紗喜花さん。
Kさん「そうですね。塗装は自分でやりました。カラフルなシールはガチャガチャで集めたやつで、このへんのはカッティングシートで自作したり。リボンの飾りはお父さんが型から起こしてパテで作ってくれたもので、とても気に入ってます!」

Kさんの通学用原付スクーター

Kさんの通学用原付スクーター

リアキャリアにはマスコットが飾ってある

リアキャリアにはマスコットが飾ってある

紗喜花「へー、かわいい。塗装は市販のスプレー塗料なの?」
Kさん「100均のカラースプレーなんですよ。それでもけっこうできちゃう」
紗喜花「スゴイ! お金をかけずに工夫してやれるんだね」
ほかにも、リアキャリアの隅には小さな人形のマスコットが接着剤でつけてあったりする。
Kさん「このマスコットはスミスキー*注1っていって、普通に好きなんで、集めてます」
紗喜花「こういう発想がJKだよね。バイクとそれ以外の好きなものをうまく混合するセンス。男子にはあんまりない」
Kさん「スミスキー、夜になるとぼーっと光るんですよ。こういうのはだいたいヴィレバン*注2で見つけます」
紗喜花「私もヴィレヴァン大好き。おかしな小物が多いんだよね(笑)」
Kさん「バイクって、他の人と絶対かぶりたくないじゃないですか。それでこんなふうになりました。やりすぎると先生に叱られるけど、ギリギリまでやっちゃう(笑)」

*注1:スミスキーは、若者に人気の“謎の妖精”。合成樹脂でできており、部屋の隅などに置いて楽しむフィギュア。
*注2:ヴィレヴァンは、チェーン展開している書籍・雑貨店「ヴィレッジヴァンガード」の略。サブカルチャー好きの若者に人気。

原付通学が“埴輪スタイル”になる理由

Kさんの学校は、16歳になれば原付免許を取得でき、希望者には原付通学も認められている(自動二輪免許の取得は不可)。
「この辺りは通学が不便で、バスや鉄道だと月に3万円くらいかかるんです。バイクだと通学時間が半分以下で済むし、お金もあまりかからないから本当に便利です」とKさん。
もっとも、Kさんほどバイクに愛情を注ぐ生徒は少ないそうで、移動手段として割り切っている生徒が多いとか。
そして2人のおしゃべりは、ライダーのファッションへ。
紗喜花「バイクに乗るときは、ライディング用のウエアがより安全でおススメ。そこはお金をかけてでも、しっかりした装備を選んだ方がいいよ。グローブも革製のものがいいと思う」
Kさん「そうなんですね。バイク通学では肌を出しちゃいけないから、私はいつもバイク用のレインパンツを履いてます。埴輪*注3はダサイからホントはしたくないんだけど、もう慣れちゃって、これでどこでも行っちゃう(笑)」

バイク通学女子の定番「埴輪スタイル」

バイク通学女子の定番「埴輪スタイル」

紗喜花「靴もおしゃれでダウンジャケットと合ってるよ。パンツもジャージじゃなくてバイク用ってわかるからカッコイイ。私が高校のときは学校指定のローファー(革靴)がすごい“イモ感”出しててイヤだった」
Kさん「まあ、スカートは履かなくてもいいんですけどね。風を巻き込んでむしろ寒いし。でも、授業は制服じゃないとダメなので、着替えが面倒。埴輪で行けば、学校に着いたらズボンをサッと脱げばいいだけなので、便利なんです」

注3:埴輪とは、バイクや自転車での通学時に、制服のスカートの下にズボンを履いた状態をいう。古代の埴輪のように見えることからそう呼ばれる。

メカが苦手でもバイクは楽しめる!

2人ともバイクの話が止まらない。シートの貼り換えや、クラッチの調整、エアクリーナーの交換、さらには溶接の方法についてなど、ほっておくとどんどん深みにハマっていく。
Kさんが、「紗喜花さんはバイクの整備に関心をもつようになったのはなぜですか?」と尋ねた。
「走っている先で、何か困ったときに自分で対処できなきゃダメだと思ったからかな。まだ一人では整備できないけど、たとえばどの部品がどんな役割をしているか知っておけば、お店に修理を頼むにしてもちゃんと伝えられる。それって大事だと思ってるの」と話す。

Kさんはバイクの整備が大好き

Kさんはバイクの整備が大好き

一般的に、女性がバイクに苦手意識を持つのは“メカへの抵抗感”も一因だが、そうした傾向について2人はどう思うか。
Kさんは、「バイクの整備は女性にもできます。やろうとしない人が多いだけで、始めてみるととても楽しいです」という。
すると紗喜花さんは、「私もKさんもメカが好きだからね。自分で整備とまでいかなくても、チェーンの弛みとかブレーキパッドの減り具合とか、基本的な点検ができればいいと思う。新しいバイクなら日常点検は自分でやって、定期的なメンテナンスはショップに任せれば大丈夫。ウチの母もバイクに乗るんだけど、メカが嫌いだから毎回ぜったい新車を買います。そういうスタンスもありだと思う」と話し、機械の扱いが苦手でもバイクは楽しめると強調していた。

カラフルに表現されたカウルに見入る沙喜花さん

カラフルに表現されたカウルに見入る沙喜花さん

「ヤエー!」で広がるライダーの仲間意識

Kさんは、この春、高校を卒業する。自動車関連企業で、実際にモノづくりをする仕事に就きたいという。
「卒業したら、とにかく二輪免許を取得したいですね。大きなバイクのことはまだよくわからないけれど、私みたいな原チャリにも、すれ違うときにヤエー*注4してくれるバイクの人が多いんです。バイクには、知らない人とでもつながれる魅力があるんですね」とKさん。
それにしても「ヤエー」とはいったい何? 紗喜花さんが説明してくれた。
「ライダー同士がすれ違いざまに、イェー!(Yeah!)って手を挙げてあいさつするじゃないですか。あれをいま、ヤエー!っていうんですよ。なぜかは知らないけど」とのこと。昔からライダー同士が道中の無事を祈り合い、ピースサインを交わす習慣があるが、どうやらそのことのよう。

トークを終えて、紗喜花さんも今回は先輩ライダーとして、年下のバイク好きな女子との話がことのほか楽しかった様子。
「バイクに関心をもってる女子高生がいるだけで私は嬉しいけど、Kさんみたいに、実際に整備もできる女の子にとても刺激をもらいました」とのこと。
2人とも安全で楽しいバイクライフを送ってほしい。というわけで、ヤエー!

注4:ヤエー!は、インターネットの巨大掲示板に書き込まれたYeah!(イェー!)のスペルミスYaeh!(ヤエー)のこと。その間違いがノリとして面白がられ、ライダーの間に広まったとみられる。

最後はInstagram用に記念撮影!

最後はInstagram用に記念撮影!

※高校生のKさんは、インタビューの後、紗喜花さんの事務所に所属することになり、現在、
日向メイリ(ひなためいり)として、デビューに向けて勉強中です。

JAMA「Motorcycle Information」2018年1-2月号Enjoy Bike Lifeより
本内容をPDFでもご確認いただけます。
PDF:ファッションモデル&女子高生 自分だけの“お気に入りバイク”大好き!


ETC二輪車「ツーリングプラン」が4月27日からシフトアップしてスタート!(全国版)

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~魅力あふれる全13コースを設定!出発前に申し込めば、お得な定額料金で乗り降り自由!~
~中京・関西・九州で初めて実施~

 

東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社、京都府道路公社及び兵庫県道路公社は、ツーリング需要を喚起することにより、各地に広がる観光地やツーリングスポットの活性化、高速道路の利用促進を図ることを目的に、ETC搭載の二輪車限定でご利用いただける「ツーリングプラン」全13コースを期間限定で発売します。

本プランは最大2日間(一部コースは3日間)、対象エリアの高速道路が定額で乗り降り自由となる割引企画商品です。(ご利用次第では通常料金の半額程度となり、お得にご利用できます。)

また、今回のプランは、昨年の首都圏4コースをリニューアルしたことに加え、各地のツーリングスポットを満喫できる9コースを新たに設定しました。

なお、当日の天候などを踏まえ、ご走行直前でもお申し込み・ご解約いただけます(キャンセル料は不要)。スマートフォン等からNEXCO各社の公式Webサイトでお申し込みできますので、お気軽にご利用ください。

プランの詳細・申し込みは各高速道路会社ホームページをご確認ください。

NEXCO東日本:ツーリングプラン(首都圏)

NEXCO中日本:ツーリングプラン(中京圏版)

NEXCO西日本:ツーリングプラン(関西版)

NEXCO西日本:ツーリングプラン(九州版)

 

ツーリングプラン申し込み開始!

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ETC搭載二輪車向けツーリングプランの申し込みが開始になりました。
全国13コースが用意されていますのでお得に使ってツーリングをお楽しみください。

■ツーリングプランとは?
ツーリングプランは、ツーリング需要を喚起することにより、 各地に広がる観光地やツーリングスポットの活性化、高速道路の利用促進を図ることを目的に、ETC搭載の二輪車を対象に期間限定で実施するもので、最大2日間(一部コースは最大3日間)、対象エリアの高速道路が定額で乗り降り自由となる割引企画商品です。
お申し込みの際には、お名前やETCカード番号、ご利用になる二輪車の車両番号標(ナンバープレート)情報等をご入力及び ジャパンライダーズ宣言 をご確認いただきますので、事前に必要な情報のご準備をお願いいたします。
NEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本、京都府道路公社、兵庫県道路公社では、各地でご利用いただける全13コースをご用意しております。
(NEXCOホームページより)

お申込み、プラン詳細の確認は下記URLからご確認ください。
ドラぷら「ツーリングプラン」紹介ページ→http://www.driveplaza.com/trip/drawari/2018_touring/

 

埼玉県「三ない運動」見直しへ 新指導要項制定を検討

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●埼玉県は、高校生のバイク利用を禁止する指導を見直しへ。

●生徒の免許取得を「届出制」とする新指導要項を検討する見込み。

●免許取得の生徒には、安全運転講習の受講など教育の充実を図る。

 

小松弥生埼玉県教育長に検討委員会の報告書を手渡す稲垣具志会長(写真:二輪車新聞社提供)

小松弥生埼玉県教育長に検討委員会の報告書を手渡す稲垣具志会長(写真:二輪車新聞社提供)

埼玉県の「高校生の自動二輪車等の交通安全に関する検討委員会」(以下「検討委員会」)は、今年2月20日、提言を盛り込んだ報告書を埼玉県教育長に提出した。これを受けて埼玉県教育委員会は、従来推進してきた「三ない運動*注1」を見直し、新たな指導要項の策定に取り組む考えだ。
全国のなかでも強力に「三ない運動」を進めてきた埼玉県の決断だけに、同じように二輪車を禁止している他府県からも注目を集めそう。
埼玉県の新しい指導要項がどのような中身になるか、埼玉県教育委員会事務局に話を聞いた。

*注1:高校生のバイク利用に関して、「免許を取らない」「乗らない」「買わない」の3つを提唱する社会運動。

多くの論点で熱心な審議を重ねた検討委員会

この検討委員会は、埼玉県教育委員会が2016年12月1日に設置したもので、高校生の二輪車指導に関する現行の指導要項(「三ない運動」推進)*注2の効果を点検し、今後の指導のあり方を検討しようという組織。有識者、生徒の保護者、教育関係者、交通安全関係者などメンバーは総勢18人。会長には日本大学理工学部助教・稲垣具志氏が就任した。
検討委員会の協議は必ずしもスムースに進んだわけでなく、「三ない運動」を維持するのか、廃止するのか、あるいは一部改正か、さまざまな意見の応酬があり、報告書のとりまとめに際しても、最後のぎりぎりまで、盛り込む文言の調整が図られた。

熱心な議論が続いた検討委員会

熱心な議論が続いた検討委員会

2018年1月24日の第9回会議まで、じつに1年2カ月間にわたる協議を経て報告書が完成。途中、県内の高校生を対象にした「原付・自動二輪車に関する意識調査」も実施され、生徒の視点にも配意した。同報告書は、同年2月20日、稲垣会長から小松弥生埼玉県教育長に手渡され、小松教育長は「なるべく早く要項を制定し、命を守る交通安全教育に力を入れたい」と、積極的な姿勢をみせている。

*注2:1981(昭和56)年2月2日の教育長通達に伴う「自動二輪車等による事故・暴走行為等防止指導要項」。「高校生活にバイクは不要」という趣旨を掲げ、特別の事情による場合以外は、高校在学中の原付および自動二輪車の免許取得、購入、乗車を認めないという、「三ない運動」と同様の指導方針となっている。

「三ない運動」を発展的に解消

小松教育長の発言にあるように、検討委員会の報告書には、高校生への交通安全教育を充実させるための新たな教育体制づくりが提言されている。そのなかで、埼玉県の「三ない運動」の行方はどうなったのか――。
報告書をみると、「免許を取らせない」「乗らせない」「買わせない」といった禁止規定(校則)を廃止し、バイク乗車を前提にしながらも、生徒の生命尊重と健全育成を重視する指導を継続していくと読み取れる。埼玉県の「三ない運動」は、発展的に解消されたといえそうだ。
埼玉県教育委員会事務局(教育局県立学校部生徒指導課)の担当者は、「近年の埼玉県の教育には、生徒の自主・自律を養っていくという大きな方針があります。とくに選挙権が18歳に引き下げられ、生徒が自ら考え、選択し、行動できるように教育していくことが求められているところです。『三ない運動』が導入された当時の社会情勢は、交通事故の増加や暴走族の問題など、禁止も止むを得ない背景がありましたが、現在、『三ない運動』を推進している都道府県は半数以下です。高校生に対する交通安全教育も、いまの社会情勢に整合するあり方が求められており、それが今回の見直しのきっかけになりました」と話す。

二輪車安全運転教育の充実を図る

高校生の二輪車安全運転講習(埼玉県)

高校生の二輪車安全運転講習(埼玉県)

「三ない運動」を廃止して、具体的にはどのような二輪車指導を行うか。報告書をみると、「自動二輪車等の免許取得者に対する交通安全講習の実施など、安全確保対策に万全を期すこと」と記されている。その上で、新指導要項に盛り込むべき具体的な要件を3つ挙げている。

■1. 自動二輪車等の運転免許の取得に伴う届出等の手続きの導入

バイクの免許取得を希望する生徒に対し、交通社会の一員となる責任とリスクを自覚させるため、保護者との連名による「届出」を行わせる。交通法規の遵守、違法改造の禁止、任意保険への加入、安全運転講習の受講など、一定の制約事項を定めること、としている。

■2. 自動二輪車等による通学に関する制限

バイク通学に関しては、現行の指導要項と同様の規制方針を維持する。バイク通学を認める場合には、原付(50㏄以下)に限ることが望ましいとした。

■3. 交通安全確保方策の実施

埼玉県教育委員会および各学校は、バイクの免許を取得した生徒を対象に、交通安全関係機関・団体と協力し、安全運転講習を実施することとしている。

バイクの免許取得は「届出制」へ

埼玉県教育委員会の担当者は、「現行の指導要項は、極めて通学が不便な場合など、特別の事情により校長が許可した生徒に限ってバイクの免許取得・乗車を認めています。一方、新しい指導要項は、免許希望者は学校に届け出なさい、免許を取得したら安全講習を受けなさい、保険加入などの手続きもクリアしなさいという流れのイメージです。新指導要項は、どの生徒も免許の取得を希望できる“届出制”を定めたものになると考えています」と話す。
そして今後の県教育委員会としての取り組みに関しては、「新指導要項の策定に向けて報告書を読み砕き、今後の課題を抽出し、届出の制度導入をどうするか、バイクの安全運転講習をどうやって実施するか、具体的な教育体制づくりに取りかかります」と話している。

業界が協力して安全運転教育をサポートしたい

一般社団法人日本自動車工業会(自工会)二輪車安全教育分科会・飯田剛分科会長は、二輪車業界から検討委員会に参加し、積極的に意見を述べた。「会議に出席するに当たって、高校生に安全運転教育を行うことがいかに大切なことか、委員の方々にぜひご理解いただきたいという気持ちで臨みました」と話す。
検討委員会を振り返って、「規制的な指導を見直して、安全運転教育の充実へ舵を切ったことに大きな意義を感じています。バイクの利用を認めれば、生徒は隠れたりせずに安心して免許を取得でき、学校は安全運転教育に取り組むべき理由が出てきます。いずれ交通社会に出ていく高校生に対して、自他の命を尊重し、安全運転への自覚を促す大切な機会になると思います」という。

日本自動車工業会 飯田分科会長

日本自動車工業会 飯田分科会長

また、「二輪車業界としては、埼玉県の今後の取り組みに寄り添い、安全運転講習の実施体制をとるなど、高校生の交通安全をサポートしたいと思います」と話している。

モニタリング組織の構築が重要

検討委員会の会長を務めた日本大学理工学部の稲垣助教は、協議の全体を振り返って次のように感想を述べた。
「現行の指導要項を制定した埼玉県教育委員会が、自ら能動的にそれを点検する検討委員会を設置して、高校生のための二輪車に関する新しい交通安全教育を考える。これはたいへん画期的なことで、行政のあり方として高く評価できると思います。まだスタート地点に立ったばかりなので、これからの取り組みでしっかり成果を収めれば、『三ない運動』を上手に転換したモデルケースとして、全国の参考になるのではないでしょうか」と話す。

日本大学理工学部 稲垣助教

日本大学理工学部 稲垣助教

さらに今後について望むことは、「高校生の二輪車の交通安全をテーマに、教育行政、PTA、保護者、二輪車業界、交通安全教育組織に加えて、交通管理や道路管理に関わる行政組織も一堂に会し、利用実態や交通事故の発生状況をモニタリングする組織づくりを提案します。バイクの利用実態をしっかり見守りながら、将来的な安全対策に活かしていく必要があります」と話している。

■検討委員会報告書 www.pref.saitama.lg.jp/soshiki/f2209/documents/houkokusho_all.pdf

JAMA「Motorcycle Information」2018年4月号特集より
本内容をPDFでもご確認いただけます。
PDF:埼玉安全教育

「BLF in 岩手・一関 開催記念スペシャルステージ“平泉から奇跡の一本松”」

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BLF in 岩手・一関の翌日の 8 月 4 日(土)に、一関市総合体育館「ユードーム」に於いて一般財団法人 日本モーターサイ クルスポーツ協会(MFJ)と東北応援の旅・ツーリング 2018 実行委員会の主催による「走ろう東北! MFJ 復興 応援ツーリング」のキックオフイベントが開催されます。

BLF in 岩手・一関開催記念スペシャルステージ“平泉から奇跡の一本松”に関しては下記URLよりご確認ください。

MFJ 開催概要 WEBサイト http://www.mfj.or.jp/touring/

「第 6 回 BIKE LOVE FORUM in 岩手・一関」開催のご案内

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「BIKE LOVE FORUM(略称:BLF)開催実行委員会 ※注1」は、来る 8 月 3 日(金)岩手県 一関市において、「第6回 BIKE LOVE FORUM in 岩手・一関 ※注 2」を開催いたします。 本年は、二輪車による復興支援活動や地域振興策のあり方について、また二輪車メディアや有識者が二輪車市場 やユーザーの将来展望について、様々な議論をおこないます。

■開催概要
1.日 時 : 2018 年 8 月 3 日(金)12:45~17:30
2.会 場 : ベリーノホテル一関(岩手県一関市山目字三反田 179)TEL. 0191-23-1000
3.主 催 : BIKE LOVE FORUM 開催実行委員会
4.内 容 : 二輪車産業の振興策についての取組状況の発表、国内二輪市場活性化策の議論など
5.参加対象 : BLF 主催者、報道関係者、一般の方
・報道関係者の方には、受付を設けております。
・一般の方もご参加いただけます。(参加無料) ※会場の座席数は、数に限りがございます。予めご了承ください。

※注 1 BIKE LOVE FORUM 開催実行委員会メンバー 経済産業省、(一社)日本自動車工業会、全国オートバイ協同組合連合会、(一社)日本二輪車普及安全協会、 日本自動車輸入組合、(一社)日本自動車部品工業会、(一社)日本二輪車オークション協会、 (一社)全国二輪車用品連合会、(一社)中古二輪自動車流通協会、三重県、鈴鹿市、静岡県、浜松市、磐田市、 熊本県、 【共同開催】 岩手県、一関市
※注 2 BIKE LOVE FORUM(略称:BLF) 世界に通用する素晴らしいバイク文化の創造を目指すとともにバイク産業の振興、市場の発展等を図ることを目的とし、 バイクに関わる企業・団体・地方自治体等が核となり、利用者等も交え、関係者間で社会におけるバイクへの認知と受 容、共存のあり方や、バイクの将来像等に関して真摯に議論し活動するもの。(第1回開催:2013年9月 三重県鈴 鹿市、第 2 回:2014 年 8 月 静岡県浜松市、第 3 回:2015 年 9 月 熊本県熊本市、第 4 回:2016 年 9 月 兵庫県神戸市、第5回:2017 年 9 月 群馬県前橋市)

●活動経緯
・二輪車が地域社会でさらに役立つ存在にするため、関連自治体とともに二輪車の普及振興策を議論
・国内二輪車市場の活性化策について、業界メンバーだけでなく外部有識者から意見をいただく
・二輪車の話題が社会に拡散するような、情報発信のあり方やバイクの楽しみ方の事例を紹介
・二輪車業界だけでは解決できない「二輪車ユーザーの利用環境の改善」要望を政府に提出 など

【プログラム(予定)】 パネルディスカッション①②、トーク対談の「タイトル」は仮称
12 時00分  開場
12 時45分  オープニングイベント
13時00分  開会挨拶(経済産業省、開催自治体)
・二輪車産業政策ロードマップ進捗状況
・パネルディスカッション① 「素晴らしいバイク文化の創造」
・トーク対談 「国内バイク市場の将来展望を語る」
・パネルディスカッション② 「バイクユーザーの未来への導き方」
17時15分 総評:一般社団法人 日本自動車工業会 二輪車特別委員長
次回開催自治体 挨拶
17時30分 閉会挨拶:全国オートバイ協同組合連合会 会長
※ 事前の予告なしに開催プログラムの内容や時間が変更になる場合がございますので、ご了承下さい。
※ 二輪車産業政策ロードマップは、BLF の共通目標を達成するために国内外の市場毎の政策課題を整理し、課題解決のための実行 施策を取りまとめたもの。2014 年 5 月 16 日に発表。二輪車産業政策ロードマップ

会場:ベリーノホテル一関 案内図

ベリーノホテル一関_案内地図

 

 

ツーリングプラン バイクラブフォーラム一関スペシャルコース

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ツーリングプラン バイクラブフォーラム一関スペシャルコース

(1)対象期間
2018年8月1日(水)~2018年8月31日(金)

(2)対象車両
ETC無線通信により高速道路を走行可能な二輪車

(3)利用期間
最大4日間

(4)コース価格
9,500円
対象エリア内乗り降り自由

(5)お申し込み先(※申込受付は、7月12日(木)15時からとなります。)
NEXCO東日本公式Webサイト「ドラ割

大変お得なコースです。詳細はNEXCO東日本ホームページでご確認ください。

8月3日に東北で開催!BIKE LOVE FORUMのみどころ

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●8月3日岩手県一関市で第6回BLFが開催される。

●BLFはこれからどの方向へと進むのか?

●プログラムを先取りし“ネタバレ”ギリギリの情報を公開する。

 

今年も「BIKE LOVE FORUM」が開催される 写真:第5回BLFのステージ(群馬県・前橋市)

今年も「BIKE LOVE FORUM」が開催される
写真:第5回BLFのステージ(群馬県・前橋市)

8月3日(金)、第6回「BIKE LOVE FORUM」(BLF)が、初めて東北で開催される。会場は一関市「ベリーノホテル一関」で、12時45分~17時30までの予定で行われる。
初開催から5年を経て、これからのBLFはどのような方向へと進むか、関係者に話を聞く。また、当日のプログラムを先取りし、“ネタバレ”ギリギリの情報を紹介したい。

BLFのこれからの方向性は?

日本のバイク文化と二輪車産業の発展を目指して、「官民一体となって真面目に議論しよう」というコンセプトで始まったBLF。今回の開催地に一関市が選ばれたのは、全日本モトクロスが開催される「藤沢スポーツランド」があることや、ヘルメットメーカー「SHOEI」の生産工場があることも後押しとなっているが、岩手県や一関市が、東日本大震災からの復興と、地域の観光振興の一環としてBLFを歓迎してくれたことが大きい。
経済産業省 製造産業局 自動車課の高橋一幸課長補佐は、「BLFは、二輪車関係団体の間で議論を深めることが主眼ですが、これを全国各地で開催することにより、開催地の行政機関や住民にバイクのことを知ってもらう絶好の機会となり、バイク文化の普及につながると考えています。開催地の地域振興にも貢献できれば、Win-Winの関係になります。今年はMFJが行う『東北復興応援ツーリング2018』や、一関市の『夏まつり磐井川花火大会』と連動して、8月3日を大いに盛り上げたい」と話す。

経済産業省・高橋課長補佐

経済産業省・高橋課長補佐

“新規と既存”両方の需要拡大がカギ

一方、BLFの企画・運営に携わっている一般社団法人日本自動車工業会 二輪車特別委員会 二輪車企画部会の川瀬信昭部会長は、BLFが掲げる課題やテーマに関して、従来の取り組みを引き継ぎながら、さまざま意見にも耳を傾けていくという。
川瀬部会長は「これまでのBLFは、二輪車市場の活性化を図るため、とりわけ新規需要、若者需要の拡大に重きを置いてきました。そのための施策にも力を入れています。しかし、国内にはすでに1,100万台の二輪車保有があり、既存ユーザーをいかに大事にするか、このこともたいへん重要です。今後のBLFの活動は、新規需要の掘り起しと、既存需要の維持・活性、それらをバランスよく進め、バイク文化の創造に結びつけることが大事だと考えています」と話す。

自工会・川瀬企画部会長

自工会・川瀬企画部会長

そうした方針により、今回のBLFは、さまざまなユーザーと接点をもつ二輪専門誌に注目。人気バイク誌の編集長らがステージに登場し、日本のバイク文化、市場の発展に必要なものは何か、意見やアイデアを語り合う。主な登壇者に、当日予定している話題や発言について聞き出した。

●第6回BIKE LOVE FORUM in 岩手・一関の開催スケジュール

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東北復興・ライダーにできることは何か

プログラム2・パネルディスカッション①には、ツーリング専門誌『アウトライダー』の編集長・菅生雅文さん、岩手県盛岡市在住の文芸作家・斎藤純さんらが出席し、「素晴らしいバイク文化の創造」(仮題)をテーマに話し合う。

●菅生雅文(すごう・がもん) 『アウトライダー』編集長。1963年、岩手県生まれ。バイク誌のほか、旅行誌、教育機関誌にも寄稿。東北の被災地への継続的な関心を呼びかけている。

●菅生雅文(すごう・がもん)
『アウトライダー』編集長。1963年、岩手県生まれ。バイク誌のほか、旅行誌、教育機関誌にも寄稿。東北の被災地への継続的な関心を呼びかけている。

●斎藤 純(さいとう・じゅん) 1957年、岩手県生まれ。文芸作家。 1994年、小説『ル・ジタン』が日本推理作家協会賞を受賞。バイクを題材にした『オートバイライフ』『風と旅とオートバイ』などの著作もある。

●斎藤 純(さいとう・じゅん)
1957年、岩手県生まれ。文芸作家。
1994年、小説『ル・ジタン』が日本推理作家協会賞を受賞。バイクを題材にした『オートバイライフ』『風と旅とオートバイ』などの著作もある。

じつは菅生さんも盛岡市の出身で、“東北愛”はことのほか大きい。2011年の東日本大震災に際しては、誌面を通じて全国のライダーに呼びかけ、福島県内で復興支援ミーティングを開催するなど、チャリティ活動を行ってきた。
一方、斎藤さんは、「岩手町立石神の丘美術館」の芸術監督を務め、地元岩手への深い理解がある。震災直後には「もりおか復興支援センター」の所長として精力的に行動した。また菅生さんとはライダー仲間であり、被災後の三陸沿岸を一緒にツーリングして現地の人たちと時間を共有してきた。
こうした2人の経験から、ステージでの話題は、「東北復興のためにライダーにできることは何か」といった話題が中心になりそう。
菅生さんは、「私は、被災地にバイクで行くということに、自問自答してきました。バイクで被災地に行くことにどんな意味があるのかずっと考えています」と、心中を語る。その言葉を斎藤さんはどう捉えるか、ライダーはどうやって地域の期待に応えるのか、当日のディスカッションで答えが出る。

需要を掘り起こす切り口はある

続くプログラム3・トーク対談は、「国内バイク市場の将来展望を語る」(仮)というテーマ。登壇するのは、自工会の「2017年度二輪車市場動向調査」を実施した株式会社JMR生活総合研究所 取締役の合田英了さん。そして『RIDERS CLUB』誌をはじめ、さまざまな分野の趣味マガジンを発行している株式会社枻出版社 取締役の埜邑博道さんの2人。

●合田英了(ごうだ・えいりょう) 株式会社JMR生活総合研究所 取締役。1971年、福岡県生まれ。若者の価値観や消費行動に関する調査経験が豊富。二輪車や四輪車の市場実態調査などを通じ、若年層とモビリティニーズの分析に取り組んでいる

●合田英了(ごうだ・えいりょう)
株式会社JMR生活総合研究所 取締役。1971年、福岡県生まれ。若者の価値観や消費行動に関する調査経験が豊富。二輪車や四輪車の市場実態調査などを通じ、若年層とモビリティニーズの分析に取り組んでいる

●埜邑博道(のむら・ひろみち) 枻出版社 取締役。1958年、北海道生まれ。『BikeJIN』、『RIDERS CLUB』など編集長を歴任。SNSによる読者ネットワークやバイクイベントにも意欲的に取り組む。現在、媒体統括責任者。

●埜邑博道(のむら・ひろみち)
枻出版社 取締役。1958年、北海道生まれ。『BikeJIN』、『RIDERS CLUB』など編集長を歴任。SNSによる読者ネットワークやバイクイベントにも意欲的に取り組む。現在、媒体統括責任者。

当日は、市場動向調査の結果について合田さんがポイントを紹介し、それを受けて埜邑さんがバイクユーザーの最新動向を解説。需要拡大のアイデアについて話し合うという。
合田さんは、「二輪車という商品は、潜在需要が大きいのが特徴なんです。憧れている人は多いけれど、運転免許が必要なので、実際にエントリーするところまでなかなか来ない。その需要をどう掘り起こすか具体的に考えたいですね」と話す。
一方、埜邑さんは、「ランニング、自転車、サーフィン、山登りなどいろいろな趣味マガジンがあるけれど、バイクだけは免許が必要。確かにハードルが高い趣味です。でもそれだけに、熱心なファンや読者が多いのが特徴。そこをいかに盛り上げていくかが大事」と、豊富な経験から指摘する。
合田さんは、「先細りといわれていたほかの業界が、起死回生のヒットを出したケースもあります。当日はそうした事例も紹介したい」という。埜邑さんは、「バイクの需要を掘り起こすにはタッチポイントが重要。市場活性化のアイデアとして提案したい」と話す。この対談は見逃せない。

これだけは言わせて! いま業界に必要な視点

プログラム4・パネルディスカッション②は、元GPライダーでモータージャーナリストでもある宮城 光さんがモデレーターを務め、『オートバイ&RIDE』編集長の松下尚司さん、『ガールズバイカー』編集長の原田英里さん、『タンデムスタイル』などを出版する株式会社クレタ社長の北村明広さんの4人が集まり、「バイクユーザーを未来へ導く」(仮)と題して、自由な意見をやりとりする。

●宮城 光(みやぎ・ひかる) 1962年、兵庫県生まれ。元GPライダーで、全日本および全米ロードレース選手権チャンピオン。鈴鹿8時間耐久レース監督、安全運転講話、トークショー司会など多方面で活躍中

●宮城 光(みやぎ・ひかる)
1962年、兵庫県生まれ。元GPライダーで、全日本および全米ロードレース選手権チャンピオン。鈴鹿8時間耐久レース監督、安全運転講話、トークショー司会など多方面で活躍中

松下さんは、「『オートバイ』は創刊96年なのですが、私が担当しているこの3年間もいろいろなチャレンジをしています。Webメディアの活用もそうですし、オートバイを擬人化した漫画などは、これまでとは違うユーザー層に広がっています。もちろんそれが“主たる『オートバイ』”ではないんですが、若者に共感される価値観っていうのはバイクのなかにまだまだあると思っています」と話す。

●北村明広(きたむら・あきひろ) 1965年、東京都生まれ。クレタ代表取締役。2000年に『タンデムスタイル』で出版事業開始。2002年からライダーによる環境活動「ラブ・ジ・アース」を展開。

●北村明広(きたむら・あきひろ)
1965年、東京都生まれ。クレタ代表取締役。2000年に『タンデムスタイル』で出版事業開始。2002年からライダーによる環境活動「ラブ・ジ・アース」を展開。

●原田英里(はらだ・えり) 1981年、兵庫県生まれ。『ガールズバイカー』編集長。オシャレに乗りたい女性を応援するため、編集スタッフは女性がメイン。女性に役立つ情報発信を行っている。

●原田英里(はらだ・えり)
1981年、兵庫県生まれ。『ガールズバイカー』編集長。オシャレに乗りたい女性を応援するため、編集スタッフは女性がメイン。女性に役立つ情報発信を行っている。

●松下尚司(まつした・ひさし) 1974年、愛知県生まれ。『オートバイ』編集長。『オートバイ』と『RIDE』を抱き合わせた“Wマガジン”を実現。Web版「オートバイ&RIDE」にも力を入れている。

●松下尚司(まつした・ひさし)
1974年、愛知県生まれ。『オートバイ』編集長。『オートバイ』と『RIDE』を抱き合わせた“Wマガジン”を実現。Web版「オートバイ&RIDE」にも力を入れている。

原田さんは、「女性ユーザーと接していると、本当にいろいろな驚きがあります。アメリカンバイクを買いに行ったのに、買ってきたのはスーパースポーツだったりとか(笑)。多くの女性はバイクについて、知識よりも感性でやってしまう。購入するのにも決断は速いし、お金もケチらない。女性の感性は勢いがあって、そこさえ捉えれば、需要層として大きいと思います」と話す。

北村さんは、「私がこの機会に訴えたいのは、クルマの普通免許で原付二種を運転できるようにすること。なんとしても実現させたい。それと、『ラブ・ジ・アース』という海岸清掃のイベントがあるんですが、高校生や大学生がバイクに乗って来てくれるのが嬉しい。大人のライダーが次の世代に伝えていく作業も大事です」と話す。

宮城さんは、「私が教えているライディングスクールの参加者は、レーシングスーツをビシッと着て、年齢は50歳以上です。いま40代もいない。若い人も大切だけど、こういう人たちをもっと大切にしないと! 60歳、70歳まで乗ろうと思えばまだ10年、20年はある。だったら新しいバイクを買いましょう。そしてもう1回レッスンしましょう。50代、60代のライダーの皆さんは、市場の大きなカギを握っているんです」という。

ただ、当日のディスカッションで、こうした意見が再現されるとは限らない。どの人も次々に刺激的な話題を繰り出して、展開の予想がつかないからだ。シナリオのないホットなトークにこそ、このプログラムの醍醐味といえそうだ。

JAMA「Motorcycle Information」2018年4月号特集より
本内容をPDFでもご確認いただけます。
PDF:BLF in 岩手・一関

元となったMotorcycle Informationの記事をPDFでも読むことができます:
Motorcycle Information 2018年7月号特集BLFin岩手・一関


全日本モトクロスを盛り上げる レディースクラスの4人

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●全日本モトクロス・レディースクラスのトップ争いが熱い。

●高レベルな走りをみせる有力ライダー4人にインタビュー。

●普段着の彼女らを訪ね、モトクロスにかける思いを聞いた。

※この記事は、2018年のレースシーズンの開幕ごろ執筆されたものです。

2018年MFJ全日本モトクロス選手権シリーズの「レディースクラス」は、ライダーの実力が拮抗し、トップ争いが激しくなっている。男子顔負けのジャンプや激しいバトルをみせる彼女たちの素顔とは? “普段着”の女子ライダーを訪ね、モトクロスにかける思いについて聞いてみた。

特別な環境で育った“一握りの存在”

モータースポーツの競技に取り組んでいる女性は、まだまだ一握りの存在だ。一般財団法人日本モーターサイクルスポーツ協会(MFJ)によると、同協会のモトクロスライセンスを所持している女子ライダーの数は122人。そのほとんどが、親にレース経験があるなど、周囲からの影響を受けて競技を始めている。幼いうちから家族とダートコースに出かけ、キッズ用のオフロードバイクに親しむなど、特別な環境で育った女性たちが多くを占めている。
「モトクロスのレディースクラスは、2ストローク85ccか、4ストローク150ccのマシンを使用しています。小型・軽量なマシンは日本人女性の体格に合っており、力を存分に発揮できるので、レースには迫力があります」と話す(MFJ事務局)。小型・軽量なマシンとはいっても、ダートのストレートでは時速100kmに達し、ジャンプは20mを超えるだけのパワーがある。

全日本モトクロス選手権シリーズ レディースクラスのスタートシーン 写真提供:モトクロス専門誌「MXING」

全日本モトクロス選手権シリーズ レディースクラスのスタートシーン
写真提供:モトクロス専門誌「MXING」

近年、全日本モトクロスのレディースクラスは、実力が拮抗して優勝争いが激しくなっている。今シーズンは上位の10人くらいのなかで、誰が勝ってもおかしくない状況だ。
その状況を踏まえ、カワサキ、スズキ、ホンダ、ヤマハの各マシンを駆る4人の有力ライダーに、今シーズンへの意気込み、モトクロスにかける思いについて話を聞いた(以下敬称略)。

ホールショットを取りに1コーナーめがけて突進する 写真提供:モトクロス専門誌「MXING」

ホールショットを取りに1コーナーめがけて突進する
写真提供:モトクロス専門誌「MXING」

モトクロスに全身全霊をかける――竹内優菜

2017年チャンピオンの竹内優菜(ホンダ)は、「昨年は課題にしていた“安定した成績”でタイトルが取れたので、少しは成長したかと思います。今シーズンはもっと優勝回数を増やしてチャンピオンの座を守りたい」と話す。
竹内のレースは、アグレッシブに攻めるのが身上。どのライダーよりも果敢にジャンプし、捻りを加えたダイナミックな空中動作で、観客の目を楽しませる。「魅せる走りをしたい。アケアケの派手なジャンプを見てほしい」と、サービス精神も旺盛だ。
根っからの負けず嫌いでバトル好き。モトクロスライダーだった父親の影響で、5歳の頃から男子に交じってダートに親しんできた。12歳(2009年)で全日本に本格参戦し、2014年に17歳で初チャンピオンとなる。気は強いが涙もろい。「優勝を決めたレースでは、最後の周回中に涙が止まりませんでした。鈴木(沙耶)さんや益(春菜)さんに憧れた私にとって、同じ1番のゼッケンを付けられることが、本当に光栄でした」という。

2017年チャンピオンの竹内優菜

2017年チャンピオンの竹内優菜

竹内は静岡県焼津市の出身で、現在、地元の一般企業で働いている。海が近くて静かな町だが、近隣にダートコースがないので、週末はトレーニングのために父親と2人で近畿圏や関東圏へと足を伸ばす。「金曜日に仕事を終えて帰ってきたら、クルマにバイクを積んで自分で運転して長距離を移動します。コースに着いたら仮眠をとって、朝から練習。その繰り返しですね」と苦笑い。まったく休みのない生活が、身体に滲みついている。
「モトクロスは自分の人生になくてはならないもの。燃え尽きるまでやります」と話す竹内は、アスリートとしてストイックな生き方を実践している。

全日本チャンピオンタイトルを獲りに行く――久保まな

昨シーズン、ランキング2位となった久保まな(スズキ)は、京都市に住む関西大学の2年生。街なかで会うと、まるでティーン向けのファッション誌から抜け出してきたような女の子だ。授業が早く終わる日はダートコースへ行って練習したり、普段はランニングや筋トレをしたり、寸暇を惜しんで自分を鍛えている。本格的に全日本に参戦したのは、13歳(2011年)のとき。じりじり順位を上げ、15年と16年には5位に入り、17年にはチャンピオン争いするところまで伸びてきた。

2017年ランキング2位の久保まな

2017年ランキング2位の久保まな

一方、大学では総合情報学部に在籍し、テレビ制作などの情報発信について学んでいる。「大学に入ってから人との関わりが広がって、ウエアに『関西大学』のロゴを入れさせてもらったり、縁があって大阪体育大学の先生にフィジカルトレーニングや栄養面について勉強させてもらえて、ほんまに充実してます」と、屈託のない笑顔をみせる。
その真面目な学生生活と、全日本選手権での優秀な成績が評価され、2017年度の関西大学学長奨励表彰を受賞した。この表彰は、全学生のうち数人しか選ばれない栄誉で、自分の大好きなモトクロスが周囲から認められたことが、久保はとても誇らしい。
「両親はもちろん、チームの皆さん、応援してくださる方々など、周りの人たちが幸せな気持ちになるように、私は1戦、1戦、優勝を目標にして頑張ります。バイクとの一体感がこれまで以上に出てきたし、精神的にも自信が湧いています。今年こそチャンピオンタイトルを獲りに行きたいと思います」と、久保は自分に誓うように言い切った。

応援してくれる人たちと一緒にレースを楽しみたい――安原さや

神戸市で暮らす安原さや(ヤマハ)は、7歳でレースデビューしており、年齢こそ若いがモトクロス歴はかれこれ20年になる。レディースクラスの上位ライダーのなかで、安原は少しだけ“お姉さん”だ。
「でも私、いまだにアクセルを開けるのが怖いし、ジャンプも苦手でなかなか飛べへんし。もっとみんなを見習わないと」と話したあと、「あ、年長者がそれではあかんですね」と笑う。おっとりした性格なのか、たまに出る関西弁でふわっと言われると、どこまでが本当かわからなくなる。

2015年チャンピオンの安原さや

2015年チャンピオンの安原さや

もちろん安原がヘタなハズなどない。全日本選手権には13歳(2005年)から本格参戦して以来、上位ランキングの常連として、年間2位、3位を連発してきた強者だ。ただ、チャンピオンタイトルにはなかなか届かず、念願の総合優勝を果たしたのは、2015年のことだった。
「1位になったときは、応援してくださる方々への感謝でいっぱいでした」
そして翌2016年、なんと安原は24歳で短期大学に入学する。モトクロスでの目標を達成した自分に、新しいステップを課したという。現在、安原は大手前短期大学の学生(3年間の長期履修生)として、アナウンサーや司会者としてのスキルを学びながら全日本への挑戦も同時に続けている。
そんな安原にモトクロスへの意気込みを尋ねてみた。「成績はもちろん大切ですが、私は応援してくれる人たちと一緒にモトクロスを楽しみたいという気持ちが強くなりました。パドックにもどんどん来てもらって、レースイベント全体を楽しんでほしい」という。そう話す安原には、経験を重ねてきたライダーならではの余裕がある。今年もチャンピオン候補の1人に違いない。

家族一緒に戦うのが私のモトクロス――神田橋芽

神田橋芽(カワサキ)には2つ下の弟、瞭がいる。芽が5歳になったとき、父親は姉弟を前にして、「家族が一緒にいる時間を大事にしたい。これからみんなで週末にモトクロスをやろうと思う」と言い出したという。
「はじめは戸惑いましたが、家族が一緒にモトクロス場で過ごす時間は、アウトドア感覚でとても楽しかった」と神田橋は振り返る。レース経験はまったくない父親だったが、乗り方を研究して子供たちにアドバイスしたり、マシンの整備も自分でやりながら娘たちを見守った。
こうして一家の“週末モトクロス”は、投げ出されることなく続けられ、姉弟のライディングはだんだん上手になっていく。神田橋は14歳(2012年)のときに現在のチームに所属することになり、本格的なレース参戦を開始した。「弟も同じチームで、今年から全日本のIA2クラスに昇格して頑張っているんです」と話す神田橋は、弟の活躍のほうがむしろ嬉しそう。自身については、昨年、自己ベストのランキング7位。この手応えについても、「弟が一緒に全日本選手権を回るようになったことが力になっています。弟がいてくれるから『私は気楽に行こう』って、いい意味でプレッシャーから解放されのがよかった」と話す。レースにおいてライダーのメンタルは非常に重要なものだが、チーム、両親、そして弟とも力を合わせている安心感が、神田橋の走りをのびのびと自由なものにしたようだ。

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そんな神田橋は、現在、看護師の資格を取るために横浜市内の看護学校に通っている。「まだレースをやめるつもりはありませんが、いつかそのときがきます。看護師の道を選んだのは、医療の知識を活かして弟やチームの手助けができると思うから。いま私は、私なりにモトクロスに関わる未来を探しているんだと思います」と話す。家族と一緒に楽しむモトクロスを追求し続ける神田橋の活躍にぜひ注目したい。

JAMA「Motorcycle Information」2018年5月号特集より
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PDF:全日本女子モトクロス

2018年二輪車産業政策ロードマップの取組状況

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2018年ロードマップ説明資料

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まちづくりと二輪車駐車場 国は附置義務の活用など示唆

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●都市再生に伴い、自動車駐車場の附置義務を柔軟にしようという動きがある。

●たとえばその際に、附置義務駐車枠を自動二輪車に振り分けることも可能。

●二輪車駐車場を確保するには、自治体の率先的な取り組みが期待される。

未だに不足している二輪車の駐車場をいかに増やすか。国や自治体の取り組みにかかる期待は大きい――。
大局的な都市の問題として、少子高齢化が進むわが国では、将来、快適な暮らしを維持するために「コンパクト・プラス・ネットワーク」(都市のコンパクト化と都市を結ぶ公共交通網の整備)構想が提唱されている。この実現のため2014(平成26)年に『都市再生特別措置法』が改正され、「立地適正化計画」に基づくまちづくりに取り組む自治体が、全国で357都市におよぶ。
そうした動きがあるなかで、自動車駐車場に関する国の政策は、まちづくりと連携した施策を行うことに重点が置かれている。これまで無秩序に整備されてきたまちなかの駐車場を見渡し、その量と質をコントロールして再配置しようという取り組みだ。
二輪車駐車場の確保に関しても、こうした都市の再生がなされるなかに、しっかりリンクさせていく必要がある。国土交通省に、近年の取り組みについて話を聞いた。

全国会議で二輪車駐車場の必要性を訴え

今年2月2日、国土交通省で「第31回全国駐車場政策担当者会議」が開かれた。この会議は、同省が都道府県および政令指定都市などの駐車場政策担当者を集めて年1回開催しているもので、国の駐車場政策に関する方向性を示し、社会情勢の変化に対応した施設整備が広まるよう働きかけている。
このときの会議では自動二輪車の駐車場不足も課題の一つに挙がり、施設整備の必要性が指摘された。同省の資料によれば、『駐車場法』の対象に自動二輪車が追加されたのは2006(平成18)年のこと。10年後の2016(平成28)年現在、全国の自動二輪車駐車場は1,767カ所で、対2006年比で約7倍に増加した。しかし、保有台数当たりの駐車場台数(収容枠数)をみると、四輪車は保有台数1,000台につき駐車場台数が65台なのに対して、自動二輪車は10台という水準に留まる。自転車駐車場で受け入れている台数を足せば、その水準は51台まで増えるものの、125cc以下の自動二輪車に限られるケースが多く、「バイクをとめられる場所がない」というユーザーの声は未だに多いのが実情だ。
同省はこの会議で、「自動二輪車の駐車場は自動車に比べて少ない。都道府県によって差があり、十分な整備ができていない地域がある」と現状を指摘している。

国土交通省s資料より

国土交通省s資料より

駐車場の量と質をマネジメントする

会議を開催した国土交通省 都市局 街路交通施設課では、今後の駐車場政策の方向性について次のように話す。
「都市の規模によって異なりますが、たとえば高密度に店舗が立地している地区では、個々の店舗に自動車の附置義務駐車場の設置を求めると、店舗スペースが削減されるだけでなく、駐車場が散在することで街並みが分断されたり、駐車場の出入口が増えることで歩行者の安全にも影響が出ます。このため、個々の店舗に附置義務を求めるのでなく、店舗から離れた場所にまとめて駐車場を配置できるようにするなど、適正な供給量とレイアウトを柔軟なものにコントロールしていく必要があると考えています」
実際に駐車場施策を行う自治体は、地域を俯瞰して課題をあぶり出したうえで、まちづくり計画(立地適正化計画等)や法律・条例などを駆使して、まちの発展や歩行者の安全に配慮した駐車環境をマネジメントすることになる。その際、駐車場の高質化(地球温暖化対策、災害時対策、駐車場利便性向上、快適な都市環境等)を図ることにより、駐車場そのものをまちづくりに貢献させようという新たな役割も提唱されている。

国土交通省資料より

国土交通省資料より

二輪車駐車場の附置義務条例に注目

そうした考えのなかで、自動二輪車の駐車スペースはいかに増やすことができるのか、施策の方向性について尋ねた。
国交省・街路交通施設課は、「自動二輪車の駐車場不足が顕在化しやすいのは、とくに都市部だと思われます。そうしたエリアでは、公共交通機関が発達していることもあって、自動車の駐車場は全般的に余る傾向にあります。先ほど述べた背景も踏まえて、四輪車用に課している附置義務基準を見直す(柔軟化する)際に、自動二輪車の駐車場が適正に整備されているかも一緒に点検して、附置義務に加えることも可能です。『駐車場法』に基づく附置義務条例を定めている自治体は200弱ありますから、それぞれの状況に応じて検討してほしいところです」と話す。

駐車場法による二輪車駐車場の付置義務条例を制定した都市

駐車場法による二輪車駐車場の付置義務条例を制定した都市

現在、『駐車場法』に基づく附置義務条例に自動二輪車を盛り込んでいる自治体は全国で9都市しかない。『駐車場法』によらない独自の条例で、原付を含めた二輪車駐車場の附置義務を設けいている仙台市などのケースもあるが、二輪車駐車場の附置義務はまだ一般的とは言い難い。四輪車枠を減らして二輪車枠に転用できるようにするなど基準緩和を伴った内容にすることで、二輪車駐車場を増やす有効な施策の一つとして注目できそうだ。

一定規模の建築物に対して設置を課す 二輪車駐車場付置義務の検討も望まれる(画像イメージ)

一定規模の建築物に対して設置を課す
二輪車駐車場付置義務の検討も望まれる(画像イメージ)

附置義務により10年で約1,000台確保

実際に自動二輪車駐車場の附置義務を導入したケースをみてみたい。
横浜市は、2007(平成19)年12月に「横浜市駐車場条例」を改正し、自動二輪車の駐車場附置義務を導入した。市内に定めた駐車場整備地区や商業地域では、延べ面積が1,000平方メートルを超える建築物を新築または増築等する際に、3,000平方メートル当たり1台の自動二輪車駐車枠を設けることとした(3,000平方メートルまでは1台)。
同市 都市整備局 都市交通課によると、条例改正以降2017(平成29)年末で、附置義務によって整備された自動二輪車駐車場は累計で230施設にのぼり、合計で約1,000台分の駐車枠が供用された。導入当時の担当者は、「年間100台ほど駐車枠の増加が期待できる」と見込んでいたもので、予測通りの効果を示す結果となっている。
同課では、「附置義務の場合、基準では最低限の設置台数が示されますが、設置者が必要と感じれば基準以上の駐車枠を設けることも可能です。中・長期的にみると条例の効果は期待できるものと考えます」と話している。

二輪車駐車場のさまざまな手法を紹介

さて二輪車業界にとって、二輪車駐車場の確保・拡充は長年の重要課題となっている。これまで駐車環境改善の要望署名(100万人以上)を政府に提出(2008年)したほか、自治体の取り組み状況を調査したり、駐車場整備の好事例集を発行するなど活動を続けている。
一般社団法人日本自動車工業会(自工会)で、二輪車の駐車場問題に取り組んでいる二輪車特別委員会 二輪車安全環境分科会・伊藤祐治分科会長は、「たまに自治体の方から『二輪車の違法駐車がほとんどないので、これ以上駐車場はいらない』と言われることがあります。しかしそうではなくて、とめる場所がないからバイクを利用できない状態なのです」と話す。

伊藤分科会長

伊藤分科会長

伊藤分科会長は、前出の「第31回全国駐車場政策担当者会議」にも招かれ、近年、原付二種(50㏄超)以上の二輪車が増えていることや、ユーザーから駐車場整備のリクエストがいかに多く届いているかについて報告。さらに自工会が2016年に制作した「自治体の二輪車駐車場事例集」をもとに二輪車駐車場のさまざまな整備手法を紹介した。
伊藤分科会長は、「近年、ツーリングライダーを観光誘致するなど、二輪車を活用したまちおこしも注目されています。自治体の担当課にはぜひ率先して二輪車を受け入れ、駐車場を確保・拡充していただけるようお願いしたいと思います」と話している。

JAMA「Motorcycle Information」2018年3月号特集より
本内容をPDFでもご確認いただけます。
PDF:駐車場政策動向

BLF in 岩手・一関 開催記念スペシャルステージ“平泉から奇跡の一本松”ダイジェスト

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BLF in 岩手・一関の翌日の 8 月 4 日(土)に、一関市総合体育館「ユードーム」に於いて開催された一般財団法人 日本モーターサイ クルスポーツ協会(MFJ)と東北応援の旅・ツーリング 2018 実行委員会の主催による「走ろう東北! MFJ 復興 応援ツーリング」のキックオフイベントの様子

バイクラブフォーラムin岩手一関ダイジェスト

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2018年8月3日(金)に東北で初開催された第6回「BIKE LOVE FORUM」(BLF)の様子
会場は一関市「ベリーノホテル一関」

動画や内容に関してのお問合せは、主催各団体まで

「BIKE LOVE FORUM」東北地方で初開催 バイク文化と二輪車市場への提案

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第6回となった今年の「BIKE LOVE FORUM」(BLF)は、東日本大震災のあった東北地方へ初めて足を伸ばし、岩手県一関市で開催された。今回は、岩手の観光や食についてのPRショーのほか、ライダーに人気の二輪専門誌編集長らが集まり、二輪車の将来に向けて熱い意見が交わされた。

岩手県の魅力をアピールする「岩手まるごとおもてなし隊」

岩手県の魅力をアピールする「岩手まるごとおもてなし隊」

経済産業省のメッセージ

ベリーノホテル一関の会議場はBLFの関係者と一般来場者で満席。開会の冒頭、経済産業省製造産業局自動車課・河野太志課長が壇上に立った。河野課長は「自動車産業全体をみるとアメリカの自動車輸入規制(関税賦課)の動きや、自動走行、電動化など、大きな関心事があり、わが国としても自動車業界と一緒に戦略立案を加速させ、国内外へ政策を発信していきたい。二輪車に関しては、BLFのメンバーで進めている『二輪車産業政策ロードマップ』が少しずつ成果をみせており、バイクを巡る環境整備が進んできた。こうした取り組みを通じて、バイクユーザーの拡大につながるよう、皆さんと一緒になって盛り上げたい」と挨拶した。

経済産業省自動車課河野課長

経済産業省自動車課河野課長

河野課長が挨拶で触れたロードマップの具体的な進捗状況については、同省自動車課・内藤貴浩課長補佐が報告し、AT小型限定普通二輪免許に係る教習日数の合理化や、高速道路の二輪車ETC・ツーリングプランの拡充実施、高校生への交通安全教育の充実など、取り組みが好転しているとの紹介があった。

岩手県_保副知事

岩手県_保副知事

また、岩手県からは保 和衛副知事が挨拶に立ち、知事からのメッセージを代読。岩手でのBLF開催を歓迎し、東日本大震災による被災地への復興支援に感謝の意を示した。保副知事は、「世界遺産である平泉、十和田八幡平、三陸復興国立公園など岩手は見どころがたくさんあります。安全、無事故でツーリングを楽しんでください」と述べた。

文化の創造――被災地へバイクで行こう!

〈パネルディスカッション① 出席者〉
三浦貴子さん・フリーアナウンサー(モデレーター)
菅生雅文さん・『アウトライダー』編集長(盛岡市出身)
斎藤 淳さん・文芸作家(盛岡市在住ライダー)
伊勢ひかるさん・モータースポーツカメラマン(一関市在住ライダー)
戸舘弘幸さん・岩手県商工労働観光部ものづくり部長
隠岐直広さん・日本モーターサイクルスポーツ協会(MFJ)事務局長
パネルディスカッション①

パネルディスカッション①

今回のBLF開催地・岩手県は、2011年3月に発生した東日本大震災の被災県の一つ。パネルディスカッション①は、「素晴らしいバイク文化の創造」がテーマだが、モデレーターの三浦貴子さんが「そのためには、バイクが地域社会から受け入れられる必要がある」と投げかけると、議論は「被災地のためにライダーには何ができるか」を語り合うものになった。
『アウトライダー』編集長の菅生雅文さんと、盛岡在住の文芸作家・斎藤淳さんの二人は、仕事(ロケ)で一緒に岩手県内の被災地をバイクで巡った経験を語った。菅生さんは、「大船渡や宮古など、被害の大きかった地域を訪ねたが、バイクだと物見遊山のツーリングにしか見えないから、後ろめたい気持ちがあった。ところがどこに行っても、地元の人たちは『遠くからバイクでよく来たね』と声をかけてくれた。そのたびに、『バイクで来てよかったんだ』と強く思い直した」と振り返る。
斎藤さんも、「被災地の人たちは、バイクに対して本当にウエルカムだった。だから、多くのライダーがためらうことなく東北を訪れて、自分の目で被災地を見て、そのことを周りの人にも話してほしい」と話した。

菅生雅文さん

菅生雅文さん

斎藤淳さん

斎藤淳さん

3年前から「走ろう東北! MFJ復興応援ツーリング」を展開しているMFJの隠岐直広さんは、「日本では今年も大きな自然災害が続いている。被災地のことを忘れないためにも復興応援ツーリングを続けていきたい」という。

隠岐直広さん

隠岐直広さん

一関市在住の伊勢ひかるさんは、「ここには日本屈指のモトクロス場、藤沢スポーツランドがある。毎年、全日本選手権が行われているので、ぜひ観戦にきてほしい。そういうことが被災地の励みになる」と、地元をPR。

伊勢ひかるさん

伊勢ひかるさん

岩手県の観光振興に取り組む戸舘弘幸さんは、「バイクに乗る人は熱い気持ちのある人が多い。全国から大勢のライダーに岩手に来てもらって、バイクを楽しんでいる姿をみせてほしい」と話した。

戸館弘幸さん

戸館弘幸さん

被災地のためにライダーには何ができるか。それはツーリングで現地を訪れるだけでもいい。外から人がやってくる嬉しさが、被災地の人たちの勇気になる。自然災害の多い日本にあって、被災地に対するライダーのそうした“寄り添い”は、バイクによる社会貢献(文化の創造)の一つとして大いに意義があるのではないか。そのことを問題提起する貴重なディスカッションだった。

二輪車の潜在需要は大きい「ポジティブに捉えて!」

〈トーク対談 出席者〉
合田英了さん・JMR生活総合研究所 取締役
埜邑博道さん・枻出版社 取締役
トーク対談

トーク対談

続いてステージは「国内バイク市場の将来展望を語る」と題して、二輪車の市場動向などの分析を行っている合田英了さんと、二輪専門誌などさまざまな趣味マガジンを出版している枻出版社・埜邑博道さんの対談が始まった。
まず、近年の日本の二輪車市場について、調査結果をもとに合田さんがポイントを紹介した。「最近は、若い年代の需要動向がいい兆しを見せていて、とくに250ccクラスのスポーツタイプへの人気が出ています。一方、二輪の新車購入者の平均年齢が52.7歳と、高年齢化しています。60歳を過ぎても乗り続けている人が多い点も日本市場の特徴です」と話した。
これを受けて埜邑さんは、「欧州では70歳、80歳でも乗っている人がたくさんいます。国内の二輪車市場を押し上げるには、若い層の新規需要が肝心ですが、既存ユーザーをいかに維持していくかも大切。50代のライダーがあと30年も乗るとなれば、そこに向けたマーケティングや投資は重要な取り組みになります」と指摘した。

合田英了さん

合田英了さん

続いて合田さんは、「二輪車は、潜在需要が大きい商品なのです。運転免許はないけれどいつか乗りたいという人、免許はあるけどまだバイクを持っていない人、レンタルバイクのユーザー、中古車ユーザー、みんな新車の潜在需要層といえます」と話す。
埜邑さんは、「バイクに乗りたいという人たちはたくさんいるわけですから、二輪車業界はもっとポジティブに考えて、ノンユーザーがバイクに触れる機会をどんどんつくるべき。たとえば都内の人の多いスポットで毎週展示会を実施して、バイクを見せて、触らせて、跨ってもらう。自分たちから市民のなかに飛び込んでいくことが大事です」と話を締めくくった。

埜邑博道さん

埜邑博道さん

二輪車の未来のために! 熱い意見が続々

〈パネルディスカッション② 出席者〉
宮城 光さん・元GPライダー(モデレーター)
松下尚司さん・『オートバイ&RIDE』編集長
原田英里さん・『ガールズバイカー』編集長
北村明広さん・クレタ代表取締役
パネルディスカッション②

パネルディスカッション②

パネルディスカッション②は、「バイクユーザーを未来へ導く」がテーマ。元GPライダーの宮城光さんがモデレーターを務め、二輪専門誌の編集長らを招いて、自由な発言が展開された。
『オートバイ& RIDE』編集長の松下尚司さんは、「二輪車業界は、市場の閉塞感を若者のバイク離れのせいにしがちだけれど、それは言い訳。若者だってバイクに乗る子は乗ってる。大人がカッコよく乗ってみせれば、彼らはちゃんとその背中を見て、ついて来るんです。若者へ夢を語れるライダーになってください」と呼びかけた。

松下尚司さん

松下尚司さん

『ガールズバイカー』編集長の原田英里さんは、「バイクに対する女性の感性は、男性とはぜんぜん違います。アメリカンタイプを購入しにお店に行ったのに、スーパースポーツを買ってきたりする。バイクに関する知識は二の次で、感覚でやってしまう。そんな女性ライダーたちの将来のために、女性だからといって“甘やかさない”誌面作りを心がけています。いつかは女性もバイクに乗るのが当たり前の世の中にしたいから」と、女性ライダーの現状を紹介した。

原田英里さん

原田英里さん

『タンデムスタイル』などを出版しているクレタの北村明広さんは、BLFが目標にしている“国内二輪車市場100万台”を絶対にあきらめないでほしいと、切り出した。「そのためには日本の免許制度を変えたい。国際的に見たら日本の二輪車区分は独特で、ガラパゴス化しています。これからは日本も125ccを原付区分の標準にして、クルマの普通免許で運転できるようにすべきです」と、法制改正の必用性を強調した。

北村明広さん

北村明広さん

最後に宮城さんも自分の思いを述べた。「私は最近、大人向けのバイクレッスンをしています。なかには65歳で二輪免許を取得した人もいます。私はその人に、『あと35年は楽しめます』と言います。日本は人生100年時代です。みなさん100歳まで乗りましょう。そのために、ぜひ健康で素敵な毎日を!」と呼びかけ、会場からは大きな拍手が上がっていた。

宮城光さん

宮城光さん

日本のバイク文化・環境は良質化してきた

「総評」では、一般社団法人日本自動車工業会 二輪車特別委員会・日髙祥博委員長が感想を述べた。「バイクを取り巻くいろいろな事がよくなってきていると感じました。東北復興の支援に取り組む社会性の高いライダーが多いことは素晴らしいと思う。日本のバイク文化が良質化していることを広く知らしめたい。バイクの利用環境については、二輪車の高速道路料金の適正化に向けて兆しが出てきたし、原付二種の運転免許についてもハードルが少し下がったと思います。これからもライダーがたくさん集まってくれるような社会性の高いイベントを実施していきたい。バイク文化のさらなる良質化を進め、知恵を出し合い、100万台の目標をあきらめずにがんばっていきたい」とまとめた。

日高祥博委員長

日高祥博委員長

次回BLFの開催地は山梨県に決定

最後に、2019年のBLFは山梨県で開催されることが発表された。山梨県は、富士五湖周辺など素晴らしいツーリングコース、温泉、キャンプ場など、最高のロケーションに恵まれている。全国オートバイ協会組合連合会の大村直幸会長は閉会の挨拶で、「今年も熱いディスカッションが展開されました。来年は山梨です。富士を登るごとく、バイクのギアを1段2段と上げられるよう頑張りましょう」と話し、会場を見渡していた。

大村直幸会長

大村直幸会長

日本自動車工業会「Motorcycle Information」/2018年9月号ズームアップより
本内容をPDFでもご確認いただけます。
PDF: BLF2018

 

義務化された二輪車ABS・CBS ユーザーに必要な心構えは?

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●10月1日から、二輪車(新型車)にABS・CBSの装備が義務化された。

●二輪自動車にはABSが、原付二種にはABSかCBSが必ず装備される。

●ABS・CBSを過信せず、急ブレーキにつながらない運転を心がけることが大切。

今年10月1日から、二輪車にABS(アンチロックブレーキシステム)・CBS(コンバインドブレーキシステム)の装備が義務付けられた。
ABS・CBSへの信頼感はユーザーの間に広く浸透している。義務化によってさらに普及が進むが、ユーザーのなかにはABS・CBSへの誤解や過信もあり、正しい理解が必要だ。

まず、今回のルール改正の概要を見てみよう。

二輪自動車(排気量125cc超)には、一定の技術的要件に適合したABSが必ず装備されなければならない。また、原付二種(同50cc超~125cc)には、同じく技術的要件に適合したABSまたはCBSが必ず装備されなければならないというもの。原付一種(同50cc以下)は適用外で、トライアル車などオフロード競技用の車両も適用から外された。
適用時期に関しては、新型車については2018年10月1日からで、すでに義務付けが始まっている。継続生産車などについては、2021年10月1日からの適用となっている。
ちなみに、ABSの機能をオン・オフに切り替えできるスイッチも開発されているが、これを装備することは一部の車両(オフロード競技用の車両)を除き禁止されている。

二輪車ABSの機能と効果とは?

二輪車のABSとはどのようなものか、あらためて機能と効果についてみてみたい。
まずABSは、一般的には、急ブレーキをかけた時など、車輪がロックしないようにセンサーで感知して、適正な制動力を自動的に得るための装置だ。

二輪車ABSのイメージ(国土交通省資料より)

二輪車ABSのイメージ(国土交通省資料より)

歴史を見ると、四輪車への装備は1980年代に広まっている。ABSが作動すれば車輪がロックしないので、四輪車の場合、急ブレーキを掛けながらのハンドル操作が可能で、衝突などの回避につながる効果がある。
一方、二輪車のABSの場合、急ブレーキを掛けたときに車輪がロックしないため、直進時であれば車両の安定性が保たれて、転倒を恐れずに最適なブレーキを掛けることとができる。たとえば、高速道路で直進走行しているときに時速100kmから力任せの急ブレーキを掛けたとしても、スリップすることなく安定した状態で停止できることにつながる。また、雨で濡れた滑りやすい路面でも、直進時ならば不安なくブレーキが掛けられる点も二輪車ABSのメリットとして大きい。
現在、国内4メーカーの市販車ラインアップを見ると、すでに大半のモデルがABS仕様になっている。

前・後輪の制動力をバランスよく配分するCBS

一方、原付二種にはABSか、またはCBSが必ず装備される。CBSというのは、ライダーがたとえば後輪ブレーキだけを掛けたとき、前輪にも制動力を発生させて、前・後輪にブレーキが掛かるようにする装置のことをいう。逆にライダーが前輪ブレーキだけを掛けたとき、後輪にも制動力を発生させるCBSもある。そのどちらか一方か、あるいは両方とも機能するシステムもあり、二輪車のキャラクターに合わせて、いずれかのCBSが採用されている。

二輪車CBSのイメージ(国土交通省資料より)

二輪車CBSのイメージ(国土交通省資料より)

こうしたCBSの効果としては、たとえば運転操作に不慣れなライダーが一方のブレーキのみを操作した場合でも、CBSによって前・後のブレーキがバランスよく掛かり、前後輪に適切な制動が得られる。
今回の義務化によって、原付二種に関しては、メーカーの採用方針によってABSかCBSかに製品の仕様が分かれてくる。CBSとABSを組み合わせたシステムも実用化されており、普及の方向性はさまざまだ。

あくまで運転支援装置――過信は禁物!

ここまで述べてきたように、二輪車のABS/CBSは、ライダーが不意の危険に面してパニックに陥った状況でも、車両側が自動的に適正な制動力を得ようとするものだ。その点、ライダーにとって有効な保安装置であることに間違いない。
ただ気になるのは、ユーザーのなかには、「ABS仕様のバイクは、非ABS仕様のバイクよりも制動距離が短い」といった誤解があること。装備が義務化されたことで、ABS/CBSへの過剰な信頼が高まることは避けなければならない。
一般社団法人日本自動車工業会(自工会)二輪車特別委員会 二輪車安全環境部会の担当者は、「ABS仕様車と、非ABS仕様車の制動距離を比較するとしたら、その差はライダーの運転技量や路面のコンディションなどに左右されます。運転の未熟なライダーや、路面が濡れて滑りやすい状態だとABSの効果は大きいでしょう。しかし、熟練ライダーがドライな路面でフルブレーキングをした場合、状況によっては、制動距離はABS仕様車のほうが長くなる場合もあります」と説明する。
そうした事実もあり、ユーザーがABSの機能を過信することは禁物だ。自工会・担当者は、「ABSは確かに有効な装置です。しかしあらゆる局面でABSがライダーに有利に働くとは限らないので、ユーザーはその点をしっかり認識して、急制動につながらない運転を心がけてほしい」と話している。
ちなみに、ABSが装備された二輪車は、通常の領域では非ABS仕様車のブレーキ操作と同じだが、急制動の際は、ブレーキレバー(ペダル)をガッチリ強く握る(踏み込む)のがコツだ。

JAMA「Motorcycle Information」2018年10-11月号特集より
本内容をPDFでもご確認いただけます。
PDF:義務化された二輪車ABS・CBS


ネットでは得られない発見がある バイクミュージアムへ行こう!

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●二輪車メーカーのバイクミュージアムが面白い。

●日本の二輪車産業の歴史、製品、取り組みの数々を目の当たりにできる。

●平成時代が終わるいま、歴史的名車を振り返り、鑑賞するのも一興だ。

スマホで検索すればどんな情報でも手に入る時代だが、ミュージアムの魅力は、展示されている実物を間近に見て、そこに何かを発見する楽しさだろう。リアルな経験を通してこそ、本物の知識や感動が得られるというものだ。

国内二輪車メーカー4社は、それぞれ「カワサキワールド」(神戸市)、「スズキ歴史館」(浜松市)、「ホンダコレクションホール」(栃木県茂木町)、「ヤマハコミュニケーションプラザ」(静岡県磐田市)という企業ミュージアムを持っている。どの施設も、バイクファンばかりでなく、学校の社会見学や地域の観光スポットとしても人気があり、最近は海外から訪れるビジターも増えているそうだ。
平成時代がもうすぐ終わる。昭和・平成の時代を彩った日本の名車の数々を鑑賞しに、ミュージアムを訪れてみてはどうだろうか。

01_カワサキワールド所在地

神戸市の観光スポット・メリケンパークに「神戸海洋博物館」があり、そのなかに川崎重工の企業ミュージアム「カワサキワールド」が併設されている。神戸港の観光活性化に貢献しようと2006年5月にオープンした。博物館との共通チケットで、年間約20万人が来場するという。

カワサキワールドに展示された川崎重工の「川」マークの石碑

カワサキワールドに展示された川崎重工の「川」マークの石碑

カワサキワールドに入場すると、1878年の創業から時代を追って事業や製品が紹介されていく。近代日本の歴史と共に、造船業から総合重工業へと発展してきた足跡が見て取れる。そこであらためて思うのが、バイクメーカーのカワサキは、日本屈指の重工業メーカーであるということ。巨大なエネルギープラントを建設し、船舶、鉄道車両、航空機等を製造、産業用ロボットの開発・供給も行う。明石海峡大橋の建設、英仏海峡トンネル、東京湾アクアラインの掘削など、「これもカワサキの仕事だったのか!」と、そのスケールに驚かされる。
「モーターサイクルギャラリー」のフロアに進むと、筆頭に展示されているのは、「Ninja H2R」と「Ninja H2」。フロントノーズには、川崎重工の「川」マークが刻印され、特別な存在感を放っている。カワサキのバイクづくりにかける自負心が伝わってくるような展示だ。

カウルを外して展示されている「Ninja H2R」

カウルを
ギャラリーにはほかにも、歴代のフラッグシップモデル、レースで活躍したマシンなどフロア全体で30台ほど並んでいる。バイク製品以外にも、新幹線やヘリコプターの実物が置かれているフロアもあり、鉄道ジオラマ、フライトシミュレーターなど、関心の向くままにいろいろな展示を見学できる。

往年のカワサキ車 レースマシンの展示が充実

往年のカワサキ車 レースマシンの展示が充実

カワサキワールドでは、2019年2月5日(火)~17日(日)まで、神戸海洋博物館の大ホールで、過去から現在までのカワサキ車の流れを表現する特別展「RE WIND」を企画している。一見の価値がありそうだ。

06_スズキ歴史館所在地

スズキの企業ミュージアム「スズキ歴史館」は、2009年4月に一般公開された。浜松市の本社に隣接しており、インターネットで予約して無料で見学できる。施設は3階建てで、3階→2階→1階の順で見学する。3階にはスズキの歴史を彩った製品の数々。2階では自動車の開発から生産までの流れを紹介。1階にはバイクやクルマの新製品と、レーシングマシンを展示している。

バイクとクルマの博物館「スズキ歴史館」

バイクとクルマの博物館「スズキ歴史館」

3階の歴史フロアは、時代の流れが整理され、当時の人々がなぜその製品を求めたかが理解できるように解説されている。年代ごとにスズキのバイクとクルマが展示され、製品が変遷していく様子を見て楽しめる。ただし、エントランスに展示されているのは、バイクでもクルマでもない。創業(1909年)の礎となった「鈴木式織機」である。初代社長・鈴木道雄の紹介から、スズキの歴史が展開されていく。

3階では”昭和感覚”が楽しめる!

3階では”昭和感覚”が楽しめる!

年代の区分けは単純な十進法でなく、当時の時代に応じたスズキの企業姿勢を踏まえて区分されている。まず「創意 1909〜1945」の時代は、織機。続いて「開拓・勤勉 1946~1963」の時代は、スズキ初の二輪車用エンジンであるパワーフリー号や、ビジネスの足として活躍したコレダシリーズ。「実行 1964~1977」の時代には、高度経済成長を背景に登場したスポーツモデルのGT750、GS400など。オイルショックを経験した「革新・貢献 1978~1985」の時代には、原付のスージー、蘭などが置かれる。そして「挑戦1986~」の時代には、ビッグスクーターのスカイウエイブ、ハヤブサ1300、最新のものは電動バイクのe-Let’sだ。
時代のエポックを築いた製品が選ばれているが、ロータリーエンジンを積んだモデルなど、スズキならではの珍しいバイクもたくさん見ることができる。地元の小学校の社会見学にも大人気で、年間1万5,000人もの児童が訪れるそうだ。

ロータリーエンジンを搭載したスズキ「RE-5」(1974年)

ロータリーエンジンを搭載したスズキ「RE-5」(1974年)

 

09_ホンダコレクションホール所在地

「ホンダ コレクションホール」は、「ツインリンクもてぎ」内につくられたバイクとクルマのミュージアムだ。ツインリンクもてぎへの来場者は無料で観覧でき、年間の来場者数は18万人以上を数える。展示点数はバイクが209台、クルマが65台、そのほか汎用エンジン等を含め約300点。世界有数の規模と質を誇る。

同ホールがオープンしたのは、1998年。昨年3月の開館20周年を機に、1階フロアの展示を大きくリニューアルした。「Honda 夢と挑戦の軌跡」コーナーを新設し、創業者の本田宗一郎と藤澤武夫が残した心に響く言葉を紹介。世界一の夢へと向かって走り始めた当時のバイク、クルマ、レースマシンなどを選りすぐって展示している。

創業者の言葉を製品とともに紹介

創業者の言葉を製品とともに紹介

2階に進むと、バイクとクルマでフロアを分け、懐かしい市販車を展示している。集められたバイクは約100台。メーンスポットに置かれていたのは、ホンダの原点である「自転車用補助エンジン」(1945年)と、「スーパーカブC100」(1960年)、元祖“ナナハン”「ドリームCB750 FOUR」(1969年)の3台。ピカピカに磨き上げられ、現代にも通用するデザインの美しさに、あらためて感心させられる。

時代を築いたホンダのバイク

時代を築いたホンダのバイク

ほかにも、さまざまな排気量のCBシリーズ(1960年代)や、1970~80年代に一世を風靡した原付バイクやレジャーバイクの数々、楕円ピストンの採用で大きな話題を呼んだ超高級スポーツ「NR」(1992年)など、眺めているとどんどん時間が経っていく。
続く3階には、ロードレース世界選手権やF1グランプリなどに出場した二輪と四輪のレースマシンがコレクションされている。二輪が約100台、四輪が約30台展示され、まさに圧巻の光景だ。ホンダは、創業(1948年)の翌年からレース活動に取り組んでおり、国内では浅間高原レース(1955年)、海外では英国・マン島TTレース(1959年)へ出場するなど、日本一、世界一へとチャレンジ。さらにWGPマシン、MotoGPマシンへとつながる流れは、「レースこそがホンダのDNA」と物語る。同ホールには「夢」を追いかけた人たちのロマンがあふれている。

整然と並んだ歴代レースマシンは壮観

整然と並んだ歴代レースマシンは壮観

 

13_ヤマハコミュニケーションプラザ所在地

最後は「ヤマハコミュニケーションプラザ」。ヤマハ発動機が1998年7月にオープンした企業ミュージアムで、創業時(1955年)への回帰や、企業理念、将来ビジョンを広く紹介しており、無料で公開されている。ヤマハ歴代の名車はもちろん、同社がエンジンを供給したトヨタ2000GTなども展示。マリン製品、スノーモビル、電動アシスト自転車、無人ヘリコプター、ゴルフカート、浄水プラントなど、多岐にわたるヤマハの事業が紹介されている。この施設も、ヤマハの“聖地”だからと訪れるライダーが多いらしく、海外からやってくるファンも増えているという。最近では、磐田市の観光スポットの一つとしてバスツアーが立ち寄ることもあり、地域の活性化にも寄与しているそうだ。

2階ではヤマハの歴史を紹介

2階ではヤマハの歴史を紹介

ヤマハ発動機の歴史に関するコーナーは2階にある。創業者である川上源一を紹介し、第一号製品の「YA-1」(1955年)を展示。楽器のヤマハとバイクのヤマハのロゴマークの違いなど、好奇心をくすぐるような解説もある。
続く「レースへの挑戦」コーナーでは、ヤマハが創業年に、富士登山レースや浅間高原レースに出場して表彰台を独占したエピソードを紹介。バイクメーカーが群雄割拠する時代にあって、後発メーカーながら一気に名を挙げたヤマハの勢いを伝えている。さらにこのフロアでは、ロードレース世界選手権に出場してきた歴代のレースマシン、1955~1990年代の市販車も年代ごとに配置し、各年代を代表するヤマハの名車を鑑賞できる。

各時代を代表するヤマハの市販車

各時代を代表するヤマハの市販車

一方、1階ホールでは、未来志向のヤマハも表現。筆者が訪れたときは、発売されたばかりの「NIKEN」が置かれていた。モーターサイクルの無限の可能性を想像させるこのバイクは、現代の製品でありながら未来感にあふれている。同プラザでは、過去、現在、未来のヤマハを感じることができるというわけだ。
ちなみに、展示されているバイクは、すべて動く状態に整備されている。いいうまでもなくたいへんな作業だが、古いものを捨てずに残していくことで、会社が培ってきたノウハウを次の世代に引き継いでいくことにつながっているという。

「NIKEN」や「2000GT」が並ぶ1階ホール

「NIKEN」や「2000GT」が並ぶ1階ホール

JAMA「Motorcycle Information」2018年12月号特集より
本内容をPDFでもご確認いただけます。
PDF:ネットでは得られない発見があるバイクミュージアムへ行こう!

2019年北海道・大阪・東京モーターサイクルショーが開催されます

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北海道モーターサイクルショウ
開催要項:http://hmg.or.jp/news/news.cgi?n=139
2019年3月9日(土)~10日(日)の2日間アクセスサッポロで開催
詳細は下記URLでご確認下さい。
HMGサイト:http://www.hmg.or.jp/

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大阪モーターサイクルショー
2019年3月15日(金)~17日(日)の3日間 インテックス大阪で開催
詳細は下記URLでご確認下さい。
URL:http://www.motorcycleshow.jp/

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東京モーターサイクルショー
2019年3月22(金)~24日(日)の3日間 東京ビッグサイトで開催
詳細は下記URLでご確認下さい。
URL:http://www.motorcycleshow.org/

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急成長するバイクの車庫ビジネス コンテナ型など土地活用で拡大

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●二輪車の保管場所としての“車庫事情”に改善の兆しがある。

●レンタルスペースビジネスの成長に伴ってコンテナ型のバイク車庫が急増。

●バイクの月極駐車場も、ここ数年でどんどん物件数が増えている。

 

バイク駐車場(保管場所=車庫)のないマンションやアパートが多いため、バイクを手放したり、購入をあきらめる人もいて*注1、市場へのマイナス影響も危惧されている。
ところがここ数年、二輪車向けの月極駐車場やレンタル車庫が急速に増えており、やっとバイクの車庫事情に改善の兆しが見えてきた。これからバイクを所有したい人にとっては朗報だ。

※注1:一般社団法人日本自動車工業会が2017年に実施した調査によると、バイクを手放したユーザーの1割以上が「駐車場を確保できなかったため」と回答しており、二輪車業界としても見逃せない問題となっている。

不動産・住宅情報サイトの急成長

不動産・住宅情報サイトの急成長
近年、大きく変わったのは、バイクの駐車場があるマンションやアパートを簡単に探し出せるようになったこと。この10年の間に、住宅情報サイトが目覚ましく発達し、膨大な物件を扱うサイトがネット上に林立している。
不動産・住宅情報サイトの大手である「LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)」の場合、マンション、アパート、売家など、全国約650万件*注2もの情報が掲載されている。ユーザーはサイトの画面で、地域、賃料、間取り、築年数のほか、“こだわり条件”という項目があり、細かく条件を設定することで、より自分の希望に合った物件を選び出すことができる。
その“こだわり条件”の一つに「バイク置き場あり」という項目がある。この条件を追加して検索すれば、バイクの保管が可能なマンションやアパートだけを抽出することができる。バイクユーザーの住まい探しには、なくてはならない機能と言える。
「LIFULL HOME’S」に掲載されている全国の賃貸マンション・アパートの件数(建物棟数)は約91万件*注2あるが、そのうち約22万件が“バイク置き場あり”の物件として検出された(2018年12月21日現在)。全体のおよそ2割となる。
試しに、東京23区の賃貸マンション・アパート約9万7,000件*注2(建物棟数)のうち「バイク置き場あり」で絞り込むと、約1万8,000件*注2(設置率18.5%)がヒットした。この18.5%が多いかどうかはおくとして、マップで表示してみると、自分に適した物件が選び出せそうなボリューム感はある。少なくとも数年前に、これほどバイク置き場のある物件が多いという印象があっただろうか。

●「LIFULL HOME’S」のWebサイト/渋谷区周辺で「バイク置き場あり」の検索結果マップ
002※注2:サイトには、1つの物件を複数の不動産会社等が重複して掲載している場合があり、それぞれを1件としてカウントした件数が約650万件。このうち、賃貸マンション・アパートの建物棟数は全国で90万9,793件となる(2018年12月21日現在)。東京23区の9万7,000件、1万8,000件は建物棟数(同現在)。

バイク向け“レンタル車庫”が急増中!

バイクの車庫事情が改善されてきたという話は、ここからが本題だ。株式会社LIFULL SPACEは、季節ものの家財道具など荷物を預ける“レンタル収納スペース”の検索サイト「LIFULLトランクルーム」を運営している。2014年には、トランクルームのバイク版である「バイクコンテナ」という検索サイトも立ち上げた。
同社の広報担当者は、「トランクルームの市場全体では、物件数が毎年5~10%ずつ伸びており、まさに成長ビジネスです。現在、全国で約1万件のトランクルーム施設があると推計されており、この数はファミレスやカラオケルームと同じ規模。このビジネスはまだまだ伸びると感じています」と説明する。
そして、注目したのがバイクの車庫需要。「トランクルームのサイト運営を始めたところ、『バイクも預けられますか』というユーザーのコメントが多く、トランクルームのバイク版としてサイトを独立できるだろうと判断しました」(同社担当者)
スタート当初、「バイクコンテナ」への掲載事業者は50社程度だったが、現在は倍の約100社に増え、物件の数は1都1道2府25県で合計約2,500件となっている。

●東京23区内にもバイクコンテナが増えている。(写真は「バイクコンテナ」の検索結果マップ)
003
「バイクコンテナの数も毎年5~10%は増えていると思います。当サイトの検索ボリュームは2017年の25万回から、2018年には65万回に増加していますので、ユーザーからの注目度も上昇していると思います。バイクの保管場所を求める需要がそれだけ大きいわけで、コンテナを活用したバイクの車庫ビジネスは、今後も拡大が続くと考えています」と話している。

バイクコンテナ事業を本格的に推進――ハローストレージ

実際にバイクコンテナ事業を展開している会社にも話を聞いた。
「ハローストレージ」のブランド名で、トランクルーム事業を展開しているエリアリンク株式会社は、昨年10月、「バイク置き場不足の解消に寄与したい」とメッセージを発信し、バイク向けの車庫ビジネスへ本格的に取り組んでいる。

「ハローストレージ」もバイク車庫を後押し

「ハローストレージ」もバイク車庫を後押し

主力となるのはバイクコンテナの普及だが、ほかにも同社が運営するトランクルーム施設に併設したバイク置き場、自動車のコインパーキングの余地を活用したバイク置き場、マンション等の敷地を活用したバイク置き場、この4つのアプローチで取り組んでいくという。
東京都足立区に開設されたばかりの「ハローバイクボックス・足立竹ノ塚」を訪ねると、同社が運営するトランクルームの建物の裏手に、17台のバイクコンテナが置かれていた。それぞれに折り畳み式のスロープが付いており、車両の出し入れに手間はかからない。雨や風も気にせず、セキュリティ性も高いので、これなら大事な愛車を安心して保管しておくことができる。
同社の担当者は、「バイクコンテナは、この2年間で都内を中心に50カ所200台分を設置しました。一気に増やしている状況です。背景には、屋外トランクルームの敷地内に余ったスペースがあると、クルマが違法駐車したり、ゴミを不法投棄される問題があります。防止策として、そのスペースをバイクの駐車場にしてみようと考え、白線で枠を仕切って貸し出したところ、どこの施設もあっという間に埋まったんです」と話す。
白線だけの駐車枠は安価に提供できるメリットがあるが、バイクコンテナのほうは少々料金が高くとも、スポーツバイクや大型バイクなど、愛車を大事にするライダーから人気がある。稼働率は9割に近いという。

17台のバイクコンテナが並んでいた

17台のバイクコンテナが並んでいた

バイクコンテナの最大のメリットは、自動車の駐車場としてはレイアウトしづらい地形でも、コンパクトなバイク車庫なら土地活用が可能なこと。「自分の土地を活用しきれていなかったオーナーの方に、バイクコンテナは喜ばれています。お客様も紳士的な方が多く、騒音などの苦情もほとんどありません」とのことだ。

二輪車の月極駐車場に特化――バイクパーク

最後に紹介するのは、株式会社バイクパーク。その名の通り、バイク専門の月極駐車場を運営する会社だ。同社は、二輪車の駐車場不足が深刻になったことをきっかけに、2010年に創業。土地所有者から駐車場用地を借り受け、同社が二輪車の月極駐車場として整備して供用、管理する方式だ。
バイク駐車場がほとんど見当たらない時期にスタートしただけに、業績は年々大きく伸長。取り扱い物件の数は、グラフに示した通り、2010年から2018年まで急拡大を続けている。
●バイクパークの駐車場箇所数・収容台数の推移
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同社の担当者は、「都内の道路という道路をバイクでくまなく走って、駐車場になりそうなスペースを探します。ほかの用途では活用できそうにない土地でも、バイク1台からの駐車場になります。たとえば自動車のコインパーキングの敷地には、使いきれていないスペースがありがちです。そこに白線で枠を設ければ、バイクの月極駐車場として貸し出せます。とにかくいろいろなアプローチでデッドスペースをみつけ、バイクの月極駐車場をつくっているのです。今後、取り扱い物件数10万件を目指して開拓していきます」と話す。
●バイクパークの会社パンフレットより(さまざまな手法でバイク車庫を増やしている)
007なお、同社の事業が急速に伸びている要因として、取り扱い物件を月極駐車場に限っている点が大きい。つまり、時間貸し駐車場だと、チェーンロックや料金精算機などの設備が必要で、採算性を確保するのが難しく、月極駐車場ならばそうした問題にとらわれずに低コストでスピーディな開設が可能だからだ。
同社の担当者は、「民間で開拓できるところと、行政が取り組むべきところと、だんだん明確になってきたと思います。時間貸しのバイク駐車場を増やすためには、行政の取り組みや協力が不可欠だと思います」と、今後の課題についても指摘していた。
ここまで見てきたように、不動産・住宅情報会社、トランクルーム事業者、二輪車駐車場運営会社、こうした企業がそれぞれ事業を進め、あるいは連携して取り組み、バイクの保管場所確保を支えているのである。

JAMA「Motorcycle Information」2019年1-2月号特集より
本内容をPDFでもご確認いただけます。
PDF:急成長するバイクの車庫ビジネス

 

消防団へ“赤バイ”導入を促す! 全国で二輪車研修を実施中

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●迅速な災害対応を可能にする消防の“赤バイ”が注目されている。

●総務省消防庁は47都道府県の消防学校にオフロードバイクを2台ずつ配備。

●消防団を対象にした二輪車研修を行うことで、赤バイの普及促進を図る。

日本列島は毎年のように地震や豪雨による甚大な災害に見舞われている。南海トラフ巨大地震の発生も懸念されており、社会が一丸となって万全の防災態勢をとっていく必要がある。
災害時における“二輪車”についてみると、交通がマヒした被災現場でも機動的な移動手段として使われる。とりわけ消防活動二輪車(通称:赤バイ)は、発災直後の情報収集等に活用されるなど、自治体の迅速な災害対策を支援するツールとして認知されつつある注1。
そうした状況を踏まえ、総務省消防庁(以下「消防庁」という)は、地域の防災力を強化する施策の一つとして、現在、全国の消防団に赤バイの導入を促す事業を行っている。赤バイの有用性が理解され、今後の普及に弾みがつくか、大いに注目したい取り組みだ。

※注1:一般社団法人日本自動車工業会(自工会)は、主に行政機関における大規模災害時を想定したバイク活用事例を集めた『安心安全な社会づくりに二輪車を活用する』(カラー冊子・2016年)を発行しており、自工会のホームページからPDFデータをダウンロードすることができる。
http://www.jama.or.jp/motorcycle/environment/pdf/disaster_measures.pdf

全国の消防学校に赤バイを配備

消防庁が行っているこの取り組みは、2017年度から2019年度までの3カ年で、47都道府県の消防学校にオフロードバイク(排気量250cc)を2台ずつ配備し、消防団員を対象とした二輪車実技の教育訓練(以下「二輪車研修」という)を実施していこうというもの。2017~18年度で32校へ配備が済み、19年度には残りの15校に納入される予定となっている。
重要なのは、オフロードバイクが配備された消防学校では、該当地域の消防団に参加を呼びかけて、二輪車研修を継続的に行っていくということ。初年度の研修は国の予算で実施されるが、次年度以降は各消防学校が主体となって実施する仕組みとなっており、定着化が期待されている。
消防庁 地域防災室 消防団係長は、「近年の消防団は、火災のみならず自然災害への対応など地域防災力の中核として能力向上が求められています。東日本大震災や熊本地震で赤バイが有効に活動した事例もあり、災害時に二輪車は役立つと判断し、事業を推進しています」と説明する。

●オフロードバイクの無償貸付事業(各年度の納入先/総務省消防庁)
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赤バイの活動事例を集めたPR動画を制作

2018年4月1日現在、全国には消防団が2,209団ある。消防庁によると、その活動用に二輪車を保有している消防団は55市町村で合計233台(2017年4月現在)と、まだまだ少ないのが実情だ。
そこで消防庁は、各地の消防団が赤バイの導入を積極的に検討できるよう、赤バイを運用している消防団の活動を紹介したPR動画(約26分)を制作注2、二輪車研修の座学教材(DVD)として消防学校に配布している。災害現場で赤バイがどのように活動し、平時にはどう運用されているかなど、具体的なイメージを掴める内容だ。

総務省消防庁が制作した消防団バイク隊のPR動画

総務省消防庁が制作した消防団バイク隊のPR動画

消防団係長は、「二輪車研修では、PR動画を視聴したり運転実技に取り組むことで、研修の成果を地元に持ち帰ってもらって、赤バイの導入を積極的に検討してもらいたいという啓発の目的もあります。市町村の実態に応じた二輪車活用を考えることが大切です」と話す。

※注2:「安心・安全な社会を目指して 情報収集の要 消防団バイク隊」というタイトルの消防団バイク隊PR動画として、インターネットのYouTubeで視聴できる。
https://goo.gl/cWEh1i

消防庁による初年度の二輪車研修――茨城県立消防学校

では、二輪車研修の内容は実際にどのようなものか――。2019年1月21日、茨城県立消防学校(東茨城郡茨城町)にオフロードバイクが2台納入され、消防庁の手配による二輪車研修が行われるというので訪ねてみた。
講習を委託されたのは、安全運転教育の専門機関である「交通教育センターレインボー 埼玉」で、インストラクター2名が運営・指導を担当し、午前10時から午後5時まで正味6時間の講習が行われた。この日は受講を希望した3人の消防団員のほか、消防学校側から消防職員が4人、合わせて7人が参加した。

茨城県立消防学校二輪車研修会に参加した消防団ら

茨城県立消防学校二輪車研修会に参加した消防団ら

インストラクターは、「普段バイクに乗っている人たちでも、オフロード走行の経験となるとそう多くはありません。オフロードバイク特有の操縦感覚に少しでも慣れてもらおうというのが講習のネライとなっています」と話す。
午前中、受講者はバイク隊のPR動画を視聴した後、オフロードバイクの車両特性と走行に関する注意点について講義を受けた後、屋外に移動し、実車に触れながら車両点検の方法、正しい乗車位置、運転姿勢などを学んだ。

座学ではPR動画を視聴する

座学ではPR動画を視聴する

インストラクターが車両特性を説明

インストラクターが車両特性を説明

オフロードバイクの車両特性を体感

そして午後は、いよいよ運転実技の訓練。オフロードバイクはシート高が高いため、ライダーの体格が小さいと乗降時のバランスが難しい。受講者は、乗り降りの際のコツなども教えてもらいながら、慣熟走行、スラローム、ブレーキング、一本橋、波状路など、運転技能の基本を繰り返し訓練した。

オフロードの走行特性を体感する

オフロードの走行特性を体感する

案外難しい一本橋(低速安定走行)

案外難しい一本橋(低速安定走行)

はじめは恐るおそる乗っていた受講者も、終盤になるとオフロードバイクの操縦を楽しんでいるようにさえ見えた。

段差を越える訓練(波状路走行)

段差を越える訓練(波状路走行)

最後の仕上げは不整地走行

最後の仕上げは不整地走行

同消防学校では、「いまのところ県内の消防団にはバイクの保有はほとんどありません。自然災害が起こると激しい交通渋滞も発生しますので、そういう場面でバイクが使えれば有効でしょうね。県内には44の消防団があって、約2万3,000人の消防団員が在籍しています。赤バイの導入に関心を示す消防団も、今後、出てくるのではないでしょうか」と話している。

消防学校の主催による二輪車研修――千葉県消防学校

消防庁による二輪車研修を経て、消防学校の主催で二輪車研修を実施したケースを覗いてみた。千葉県消防学校(千葉市中央区)には2017年度にオフロードバイクが配備されており、2019年1月26日に、初めて学校主催の二輪車研修が実施された。
同校教務課では、「今回の二輪車研修は、消防学校が行う年間計画に正式に組み込まれています。ただ、現時点では、職員自らが実技指導を行うのは難しいため、今回の講習は外部機関(交通教育センターレインボー 埼玉)に委託して行います」という。
このため、講習の内容は先に紹介した茨城県のケースと同様だ。集まったのは、千葉県下の7つの消防団から合計14人。年齢は20代から60代までと幅広く、女性の参加も3名あった。インストラクターは各々の技量を見極めながら、レベルに合わせた指導を行っていた。

千葉県消防学校の二輪車研修に参加した消防団員ら

千葉県消防学校の二輪車研修に参加した消防団員ら

いすみ市消防団から参加した男性(58歳)は、「ウチの消防団には赤バイがあって、私はかれこれ15年くらい乗ってます。火災があると、いちばん早く現場に到着して無線で後続への指揮をとったり、自然災害対応もあるし、徘徊老人の捜索にも出かけるし、赤バイがあればいろいろと役に立ちます。だからこういう研修が始まったのは喜ばしいですね。ゆくゆくは緊急走行の訓練もぜひ実施してもらいたい」と、取り組みを高く評価した。

いすみ市消防団の受講者

いすみ市消防団の受講者

若者や女性団員にも好評だった

山武市消防団の男性(26歳)は、昨年4月に入団したばかりの新人で、二輪免許は取得して2年と、こちらもまだ経験は浅い。「オフロードは初めてです。でも地面が土だから安心感があって、思い切って操縦しました。転倒もしましたが、むしろそういう体験を安全な場所でできたのがよかった。ウチの消防団にも赤バイがあるので、これを機会に積極的に触れてみたいと思います」と意欲的だった。

山武市消防団の受講者

山武市消防団の受講者

四街道市消防団からは母娘が2人で参加した。お母さんは団員歴が14年目というベテランだが、バイク歴のほうはまだ2年。「娘と一緒に免許を取得して、普段はツーリングを楽しんでいます。オフロードバイクもなんとか操縦できたので、もっと上手になれば防災広報などに使えるかもしれませんね」と話した。
娘さんは、「とにかくバイクはカッコいいです! 赤バイが街を走ったら、みんなもっと消防団に興味をもってくれるかも。バイクが好きだからという理由で消防団に入ってもらってもいいと思います」と、元気に答えてくれた。

四街道市消防団の受講者

四街道市消防団の受講者

「大規模災害団員」制度の推進

わが国の消防団の規模は、団員数が年々減少傾向にあり、将来的にいかに団員を確保していくかが大きな課題になっている。
消防庁長官は、2018年1月19日に各都道府県知事および政令指定都市市長に対して『消防団員の確保等に向けた重点取組事項について』との通達を発し、そのなかで大規模災害時にマンパワーを確保する方策の一つとして、「大規模災害団員」の導入を提唱している。
この大規模災害団員とは、震災など大規模な災害の発生時に、通常の団員だけでは人手不足が生じるような場合に限り出動する人員とされている。具体的には、消防関係OBはじめ、自主防災組織等の構成員、学生、事業所・団体等の従業員、特殊な資機材等を持つ事業所・団体等の関係者などが見込まれている。
活動内容としては、たとえば災害情報の収集・報告と地域住民への伝達、避難誘導、安否確認などを想定。事業所などで所有する二輪車、ドローンなどを活用した情報収集、重機による道路啓開、水上バイクを活用した水難救助などが期待されている。
大規模災害に備えて二輪車を活用できる態勢を整えておくことは、地域社会の安全安心にとって大きなアドバンテージになるに違いない。

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JAMA「Motorcycle Information」2019年3月号特集より
本内容をPDFでもご確認いただけます。
PDF:消防団へ“赤バイ”導入を促す!

 

ETC二輪車「ツーリングプラン」が今年も4月26日からリスタート!

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ツーリングプランとは

ツーリングプランとは、ツーリング需要を喚起することにより、 各地に広がる観光地やツーリングスポットの活性化、高速道路の利用促進を図ることを目的に、ETC搭載の二輪車を対象に期間限定で実施するもので、最大2日間(または最大3日間)、対象エリアの高速道路が定額で乗り降り自由となる割引商品です。

各コースの対象エリアやご利用方法など詳細は、下記サイトよりご確認ください。
※ツーリングプランの利用には事前登録が必要です。
■2019年ツーリングプラン
https://www.driveplaza.com/trip/drawari/2019_touring/

 

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